★第１章『チャーハン』五品目 ページ6
ふわり、と効果音が何処からとも無く
聞こえてきそうな程、黄金色の卵は軽々しく宙を舞った。
それに伴い、白飯がパラリと空中分解し、
一粒一粒に分かれようとする。
最早何かの芸術品にも近しいのではないか
其れ等は、ゆっくりと俺に近づいてきた。
一瞬の事なのに、
やけにスローモーションで見える。
……嗚呼、料理ってすばら
「________あッッつぅぉぁあ！？」
_____結果。
爆散は免れたが、顔面に卵と白飯を直撃させた。
ありがとうございました。
・
・
「…成程、フライパン自体を
大きく上に動かす必要はねェのか…」
多大な傷を負った顔面(と心)を冷やしながら、
やっぱり此処で活躍するのはすまほ様。
ほぅ、と関心しながら、
もう一度詳しく文章を読み込もうと顔を近づける。
……あ、誰だ今老眼とか云った奴。
違ェからな。只一寸見にくいだけだからな。
「手首ではなく、
肘を起点に自分の方に引く動作をする…か」
否、ンな簡単に文章面で云われたってよぉ…。
ぶぅぶぅと文句を垂れながら、
再度すまほ様を確認すれば其処には、
『タオル等を畳み、返す練習をすると良いですよ』
と、云う文が俺を待ち構えていた。
「……ッしゃあ！」
冷やしタオルをバンッと乱雑に机に叩きつけ、
気合を入れて拳を握る。
やってやるぜ…、完璧にしてやる！
フライパン返し！！
・
「……はは、やっと此処まで来たな」
てらてらと光を受けて輝く黄金色の卵と、
優しい白を纏う白飯。
あれから、何分もの時が経った。
フライパンとタオルを手に、汗水流し特訓をしてきた。
重力操作を使い、
肘を起点にする事も完璧にマスターした。
フライパン返しの中原中也と云う称号は、
もう目前なのだ。
「よし、見てろよ…俺の、フライパン返しッ！！」
手首の力を最小限迄抜く！
異能力を使い、重量を軽くする！
「いけッッ！！」
肘を起点に、フライパンをスッと引く！
華麗に空中で丸を描く食材達。
台所の証明を受け、美しく光り輝く。
完璧にフライパン返しが終わった様子を
イメージし、ふ、と微笑みながら瞳を閉じた。
「……あつッ、…は？」
光り輝いていた食材達は、
見事に俺の手首へと降り掛かっていた。
………嗚呼もう俺、泣くわ。
『実際にやる場合は、フライパンの大きさに対して材料を入れ過ぎないようにすると、上手く出来ると思います』
☆第１章『チャーハン』六品目→←☆第１章『チャーハン』四品目
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ぬぬぺ(プロフ) - 最高に好きです…。永遠と更新待っております。 (2021年5月9日 11時) (
レス) id: 9b882da59b (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - はぁ、もう可愛いが止まらない (2020年2月17日 14時) (レス) id: b371464530 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - おもいびとのために奮闘する幹部が可愛すぎて終始ニヤニヤしておりました。合作なのですね！更新、こっそり楽しみにしております。 (2018年9月7日 20時) (レス) id: a3aac3bf63 (このIDを非表示/違反報告)
こくだか(プロフ) - めっちゃ面白いです！文才素晴らしい！実際の文豪のネタが入ってるのが嬉しいです。 (2018年5月7日 23時) (レス) id: c98d2abbd5 (このIDを非表示/違反報告)
よっしー3号(プロフ) - 嘘の鏡さん» 何かさーせん！です！ (2018年3月28日 20時) (レス) id: 669979a4ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よっしー３号とピロウ
x他1人 | 作者ホームページ：http://agpdumtmjahmtd
作成日時：2017年7月17日 0時
