☆第２章『ハンバーグ』九品目 ページ27
物凄く遅れてしまい、申し訳ありません……ぴぃさんごめんなさい……
『えっ、あっ、書類が……やってくれるんです！？ あ、行きます行けます！ 』
太宰が書類を片付ける？ 嬉しさよりもそれに対する驚きが上回り、「ほぉあ」と云う何とも滑稽な声が漏れ出た。
が、そんなことは如何でも良い。Aが来る。しかも俺の家に。
_____やるしかねェ。やってやろうじゃねぇか。
通話が終わった後、暫くは惚けていたが、そんな場合では無い。全力でハンバーグを作り終え、最高の状態でテーブルに出さねば。彼女の期待を棒に振ることは許されない。
「あーっと、種、種……………出来てる。……出来てる！？ 」
殺意の力は矢張り凄かった。綺麗な形の種が３つ並んでいる。
……もう俺、殺意マスターでも目指そうかな。
お次は小麦粉を種の表面に、ぽふぽふっとするには、はたくのだ。これで肉汁が出て行ってしまうことは無い。マル秘テクである。
「んんっん、げっほごほっ、ごほっごほっ、うおっ、てぃっ、てぃぃぃっっしゅ！！ 」
……くれぐれも鼻や口の中にクリーンヒットさせない様に。
それが終わったら、今度は種の真ん中を凹ませる。
焼くと真ん中が膨らむ故、予め凹ませておけば、仕上がりも平らになる上に火の通りも良くなる。
「……いよいよ、だな」
それも終われば、いよいよ焼きの工程に入る。
火力が強過ぎると、中まで火が通らなくなり、何時ぞやの生焼けハンバーグになってしまう。
此処でそんな失態をしてしまったら、一巻の終わりどころか俺は砂か塵になって大気中に消えるだろう。それだけは避けたい。
「中火で片面だけ２、３分焼く……中火で片面だけ……」
ぶつぶつ呟きながら、慎重に火力を調整していく。
片面が焼けたら、ひっくり返す。調子に乗ってフライパン返しでハンバーグをひっくり返したあの頃が懐かしい。おかげで新品のエプロンが台無しになったがな。
アルミホイルをフライパンに被せ、火をぷつっと消す。余熱を使い、じっくり２０分焼く様だ。
「……此処で付け合わせを作れたら格好良いんだろうなぁ……」
ぼーっと天井を見上げ、そうぼやいた後、窓から外を覗く。
1人の女がこのマンションに入って行った。
「あっ、Aだ」
何とも云えない空気が漂う。キッチンからは、良い匂いが浮かぶ。
ハンバーグを焼き始めてから、凡そ数十秒。目標の２０分はまだまだの上、ソースも作れていない。焼き終わらないと作れないのだ。
……泣きたい。
★第２章『ハンバーグ』十品目→←★第２章『ハンバーグ』八品目
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 463人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぬぬぺ(プロフ) - 最高に好きです…。永遠と更新待っております。 (2021年5月9日 11時) (
レス) id: 9b882da59b (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - はぁ、もう可愛いが止まらない (2020年2月17日 14時) (レス) id: b371464530 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - おもいびとのために奮闘する幹部が可愛すぎて終始ニヤニヤしておりました。合作なのですね！更新、こっそり楽しみにしております。 (2018年9月7日 20時) (レス) id: a3aac3bf63 (このIDを非表示/違反報告)
こくだか(プロフ) - めっちゃ面白いです！文才素晴らしい！実際の文豪のネタが入ってるのが嬉しいです。 (2018年5月7日 23時) (レス) id: c98d2abbd5 (このIDを非表示/違反報告)
よっしー3号(プロフ) - 嘘の鏡さん» 何かさーせん！です！ (2018年3月28日 20時) (レス) id: 669979a4ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よっしー３号とピロウ
x他1人 | 作者ホームページ：http://agpdumtmjahmtd
作成日時：2017年7月17日 0時
