★第２章『ハンバーグ』四品目 ページ22
「……っ、はァ、…」
恍惚とした溜息が己の口から漏れる。
あれから自宅へと戻り、
取り敢えず食材やら何やらを冷蔵庫に詰め込んだ
俺は現在、酒と摘みを片手に至福の一時を過ごしている。
普段葡萄酒しか口にしない俺だが、
意外と焼酎や麦酒も悪くないと思った。
喉を潤す強い酒の味に目を細め、
ぼんやりとハンバーグと…Aの事を考えた。
「……ハンバーグ、嫌いなんてこたァねェよな」
頬杖をついて、チャーハンを頬張っていた
Aの姿を鮮明に思い出す。
否、変態とかじゃなくてだな。普通に。
「…へへぇ、云ってくれねェかなァ…。
"美味しいです、中原さん大好きですっ"とかねェかな……へへ、へへへ…」
嗚呼、何だか気分が良くなってきた。
視界がほわほわと揺れる。
自然と口角が上がって、
酒と摘みに伸ばす手のスピードも速くなる。
「あ"〜…"中原さん大好きですっ"かァ…
聞きてェな…へへ、ひっく…聞きてェ…」
中原中也自身は、この時気づいていなかったが…
…彼は既に相当酒に酔っていた。
だが、そんな事を知らぬ中原中也は、
酔いの心地良さに身を委ねて_______
・
・
「………………はっ」
此処は何処だ、俺は誰だ。
ガバリと勢い良く飛び起きた俺は、カッと目を見開いた。ずきりと頭が小さく痛む。
「…あれ、何で俺、寝台、に…」
自分の居る場所が、自宅の寝台だと把握した俺は、
ふぅ…と脱力しながらふかふかとした寝台にもう一度身を預けた。
「……何、してたんだ…？」
霞がかかる記憶を、必死に辿っていく。
そうだ、確か俺は、スーパーに食材を買いに行って…それで、酒を飲んで……
「…否、待てよ待てよ待てよ」
ふっ、と唐突に頭に走る衝撃。
弾かれたように、
寝台の淵にあった携帯電話の着信履歴を確認する。
一番上にあった名前は_______
________海風 A
「………中原、さ
「ひぅぉぉぉあっっ！？！？」
突如。
視界に映ったAの不安げな顔に、身体が文字通り飛び跳ねた。
「わっ」と声を上げながら、
飛び起きた俺から少し距離をとる。
やばい、頭が、頭がぐるぐる回ってる。
「な、なな、何で、A…っ！
違、俺…っ手前の事呼ん…っ？」
「あ、あの…
取り敢えず薬と水を、…」
小さく慌てている様子が可愛い、なんて普段の俺なら思っていた。
だが、状況が状況だ。
…………俺、何してんだよ……！？
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ぬぬぺ(プロフ) - 最高に好きです…。永遠と更新待っております。 (2021年5月9日 11時) (
レス) id: 9b882da59b (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - はぁ、もう可愛いが止まらない (2020年2月17日 14時) (レス) id: b371464530 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - おもいびとのために奮闘する幹部が可愛すぎて終始ニヤニヤしておりました。合作なのですね！更新、こっそり楽しみにしております。 (2018年9月7日 20時) (レス) id: a3aac3bf63 (このIDを非表示/違反報告)
こくだか(プロフ) - めっちゃ面白いです！文才素晴らしい！実際の文豪のネタが入ってるのが嬉しいです。 (2018年5月7日 23時) (レス) id: c98d2abbd5 (このIDを非表示/違反報告)
よっしー3号(プロフ) - 嘘の鏡さん» 何かさーせん！です！ (2018年3月28日 20時) (レス) id: 669979a4ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よっしー３号とピロウ
x他1人 | 作者ホームページ：http://agpdumtmjahmtd
作成日時：2017年7月17日 0時
