★第2章『ハンバーグ』二品目 ページ20
「…で、その様子だと……。
……生焼けのハンバーグでも食べたのかい?」
「ぶっ!?な、何でわかッ…や、食べてねェよ!」
核心を突くような太宰の言葉に、
思い切り吹き出してしまう。
昔から、『単細胞』だの、『単純』だの、
今の反応は如何見ても分かり易過ぎだろ。自分よ。
「ぷくく…中也も莫迦だねえ…。」
巷で噂話をするばあさんの様な振り付けをし、
百点満点のムカつく笑顔で俺を見下する太宰。
そしてその侭口をぱくぱくさせ、
「た、ん、さ、い、ぼ、う」
と、頭を人差し指で小突く動作をしながら、
音のない言葉を口にした。
此処でカチンと来てしまう俺は、
矢張り『単細胞』なのだろうか。
_____否、断じて違う。
単細胞があんなに美味いチャーハンを作れる訳ねェだろ。……マァ、そんな事、今は如何でも良い。
________此奴、今日こそ死なす。
「ッざけんな太宰!!
生焼けのハンバーグ食って死んどけッ!!」
「んふふ、死ねるなら万々歳なのだけれどっ、
双黒(小)の作った生焼けのハンバーグなんかで、
死にたくないも、のっ!」
「誰が双黒(小)だッつの!!」
ビュンっと風を切る音と共に、命中すれば、
頭蓋骨をも粉砕出来る様な蹴りを、太宰の頭に入れる。
が、太宰は既にその鬱陶しい長身を屈め回避。
ふわり、と包帯独特の薬品の香りと蓬髪が舞う。
体勢を低くした太宰の腹に、
力強く握った拳をめり込ませ_________
「__________あの、…中原さん…?」
「あ"ぁ!?」
「っ…や、何でもないです…!
お、お邪魔致しました…っ」
ピタリと拳を止めて、
邪魔をされたと腹が立った俺は、
何時もの調子でドスの聞いた声と共に振り返った。
________Aが声をかけてきたとも知らずに。
「あ〜あ…やっちゃったねえ中也…」
パタパタと駆けていくA。
脳内に鳴り響く「中原終了のお知らせ」を告げる鐘の音。
太宰の気持ち悪い笑い声も、今となっては気にならない。
「やつちまつた悲しみに…」
乾いた口内からやっとの事で零れた言葉は、
なかなか情けないものだった。
・
「………A絶対ビビってたよな」
「…何故僕なのですか中原さん」
「なァ芥川、
これはもうハンバーグ作るしかねェよな」
「…何故僕なのですか中原さん」
この一件が、
俺、ハンバーグ中也の胸に火をつける事になる。
☆第2章『ハンバーグ』三品目→←☆第2章『ハンバーグ』一品目
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ぬぬぺ(プロフ) - 最高に好きです…。永遠と更新待っております。 (2021年5月9日 11時) (レス) id: 9b882da59b (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - はぁ、もう可愛いが止まらない (2020年2月17日 14時) (レス) id: b371464530 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - おもいびとのために奮闘する幹部が可愛すぎて終始ニヤニヤしておりました。合作なのですね!更新、こっそり楽しみにしております。 (2018年9月7日 20時) (レス) id: a3aac3bf63 (このIDを非表示/違反報告)
こくだか(プロフ) - めっちゃ面白いです!文才素晴らしい!実際の文豪のネタが入ってるのが嬉しいです。 (2018年5月7日 23時) (レス) id: c98d2abbd5 (このIDを非表示/違反報告)
よっしー3号(プロフ) - 嘘の鏡さん» 何かさーせん!です! (2018年3月28日 20時) (レス) id: 669979a4ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よっしー3号とピロウ x他1人 | 作者ホームページ:http://agpdumtmjahmtd
作成日時:2017年7月17日 0時