☆第１章『チャーハン』十四品目 ページ15
そっと差し出された電子機器。
それは正しく録音機で。イヤホンも手渡され、その中身を聴く。
_____わぁ。
「……………芥川」
「はい」
「これは俺が責任持って処分するな？ 」
「……」
「な？？ 」
「……………酒には、気を付けて下さい」
最後に付け足された言葉が１番心に響いた。
「さぁて、そろそろチャーハン仕上げるか」
芥川のおかげで何とか目が覚め、大人しく家にてチャーハンを作る。
今日は何故だか上手く行きそうだ。笑みが零れつつも、手際良く調理を進める。
米は暖かい物を使い、フライパンは熱する。
油は気持ち多めにし、卵は最初溶いでおく。
卵の外が固まり、中半熟位でご飯を入れ、フライパン返しする。
オムレツの様な状態から崩していき、其処にネギ等を入れる。
調味料はシンプルに。
「おぉ、出来た出来た」
ほくほくと湯気が立ち、油で照ってとても美味そうだ。
試食をしてみても……まぁイケる。
銀程では無いが、相応の味にはなった。後はAに食べて貰うだけ……………
「あ、どうやって持って行くんだ？ 」
しまった。全然考えていなかった。
うっかり器に盛り付けてしまったチャーハン。これを両手でしっかり持って、走ってAの部屋まで行くのか？
想像してみろ。シュール過ぎて逆に笑えねぇ。
「俺、双黒だよな。双黒の片割れがこんな事していたら駄目だよな。威厳が落ちるよな」
だが、その成功したチャーハンは既に器の中。店で出る様な器が、今だけは恨めしい。
……Aを此方に呼ぶ？ 莫迦か。そんな勇気が有ったら何でも出来る。
それに、断られた時のショックが強そう。完全に小並感だ。
_____何時もの格好で、チャーハンが盛り付けられた器を持って、冷めない様に廊下を真顔で疾走する俺、か。
「黒歴史確定だな」
誰でも判るわこんなの。嗚呼、最悪だ。今なら死ねる。
そうだ。チャーハンを異能力で浮かせれば良いのではないか？
「否、それこそシュール」
……諦めてAを呼ぶしかないのか。このスマホの電話履歴に、Aの名前を刻まなければならないのか。
手の中に収まっている、過去にとても世話になったスマホ。それをこれでもかと云う程睨む。
俺の勇気は雀の涙程しか無いのか。
未だにコールボタンが押せないのが、少し阿呆らしかった。
★第１章『チャーハン』十五品目→←★第１章『チャーハン』十三品目
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ぬぬぺ(プロフ) - 最高に好きです…。永遠と更新待っております。 (2021年5月9日 11時) (
レス) id: 9b882da59b (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - はぁ、もう可愛いが止まらない (2020年2月17日 14時) (レス) id: b371464530 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - おもいびとのために奮闘する幹部が可愛すぎて終始ニヤニヤしておりました。合作なのですね！更新、こっそり楽しみにしております。 (2018年9月7日 20時) (レス) id: a3aac3bf63 (このIDを非表示/違反報告)
こくだか(プロフ) - めっちゃ面白いです！文才素晴らしい！実際の文豪のネタが入ってるのが嬉しいです。 (2018年5月7日 23時) (レス) id: c98d2abbd5 (このIDを非表示/違反報告)
よっしー3号(プロフ) - 嘘の鏡さん» 何かさーせん！です！ (2018年3月28日 20時) (レス) id: 669979a4ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よっしー３号とピロウ
x他1人 | 作者ホームページ：http://agpdumtmjahmtd
作成日時：2017年7月17日 0時
