【ROUTE:BAD ROUTE】 ページ12
-シンタローside-
ここ数日、Aはいつも着ている黒いパーカーを着ていない。
最初は不思議がっていた皆だったが、それをAははぐらかすから。
キドのように、一番上までチャックを閉めて。
まるで、何かを隠すかのように。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「首、暑くないのか」
「………別に」
そっけない返事。
だが、焦りの色も見えた。
隠すかのようにぎゅ、とチャックの部分をAは握る。
「なぁ、」
気付いたら俺はその腕を掴んでいた。
俺以上に細くて、折れてしまいそうな細い腕。
華奢なAには似つかわしくない、とある「痕」をAは隠す。
「見せてみろ」
「やめ、やめろ、」
「良いだろ、見たいんだ、だから」
「やめ、」
半ば無理矢理押し倒して、チャックを下に下げる。
開かれたそこから見えるのは、
Aの首筋に浮かぶ、絞められたような赤い痕。
首を絞められた時につくような、そんな痕がくっきりと赤みを帯びていた。
「…………」
「……前より濃くなったな」
俺の首筋にも、傷跡のようなものが浮かぶ。
それがなんなのか俺たちにはもう分かっていた。
別のROUTEの、過去の、俺たちの傷が浮かんできているのだ。
XXという、最悪の形で終わったバッドエンドのルートの世界で。
その世界では、俺がAの首を締めて、
俺は自らハサミで命を絶った。
「どんどん、過去に俺たちは戻ってるのかな」
「………」
「な、A。痛い？」
「………いたい、くるしい、こわい、しにたくない、
しにたくないよ……！！」
泣きながら、震える声でAはそう言った。
別のルートの世界の俺の不始末とはいえ、「俺」なのだから、俺がしたのと一緒だ。
仮に俺たちの体がXXの時に巻き戻っているのだとしたら、
俺たちは、死んでしまうだろう。
「……ごめん、ごめんな、A」
自分の首筋を撫でるように触って、
ポツリと、俺は小さく呟いた。
「俺もな、
______自分で刺した傷が、痛むんだ」
(だって俺たちはあの日息を静かに止めたのだから)
++++++++++++++++++++++++++
補足説明としてこの話は「過去に自分たちが死んだ原因となった頃に身体が巻き戻っていく」という話です。
XXの世界の「18歳、2人の少年」という過去の作品に関係します。
もし良かったらそちらもどうぞ
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華月 - 前のシリーズから読んでます！凄く面白いです！頑張って下さい！！ (2014年11月14日 23時) (
レス) id: f9d7472837 (このIDを非表示/違反報告)
猫庭 - 前作から読んでますが、キャラクターのからみ方というかつながり方がすごくなめらかで読みやすいです。 長文失礼しました。 (2014年4月21日 20時) (レス) id: af412b065d (このIDを非表示/違反報告)
結樹 恵(プロフ) - アヤトくんと伸也さんの絡みをありがとう(鼻血) (2014年4月20日 14時) (レス) id: 38264bc2f3 (このIDを非表示/違反報告)
くあ(プロフ) - 前作１話から３時間かけて追いつきましたーちょっと感動しすぎるので、超いっぱいすぐに書いてください。ていうか前作の最後大泣きしたわぁ(T0T)マジでありがとうございますぅぅぅぅ！！ (2014年4月6日 4時) (レス) id: 7560a24b04 (このIDを非表示/違反報告)
綾風サクラ(プロフ) - アヤト君キターーー！！ (2014年1月14日 20時) (レス) id: a1c21fd6f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あい@カゲプロ廃なう
| 作者ホームページ：無いｗｗ←
作成日時：2013年12月30日 2時
