Closer 【吉沢亮】 (ページ5)

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コンビニで思いつく限り、熱が出ていても食べられそうなものを買いこんでから彼の家へ向かう。

「亮くん、来たよ、大丈夫？」

彼のマンションのエントランスまで来て、インターフォンを鳴らすと弱々しい彼の声がきこえてきた。

『ん、今開ける』

その言葉を合図に重厚な作りの自動ドアが開く。

エレベーターで彼の部屋がある階まで急いで行く。

早く彼の看病をしてあげなきゃ、その一心だった。

―ピンポーン

ガチャ

「亮くん....？」

ドアが開くと私の想像とは真逆の彼がいた。

軽くセットされた髪の毛にいつにも増してお洒落な洋服

あれ？この人体調悪いんじゃなかったの？

「あれ....、熱は....?」

『熱なんか全然ないよ、」

そう言いながらまるで “してやったり”、なんていう言葉が聞こえてきそうにいたずらっぽく笑う

「あーもう、折角心配したのに... 」

『ごめんごめん』

「なにもないなら帰るよー？」

そう告げて私が踵を返そうとすると彼に手首を掴まれた。

『さ、行くよ』

「え、どこに？全然お化粧とかしてないんだけど」

『いーから』

そうやって彼は私の手を引いた。

私はというと、言われるがまま、されるがままに彼について行った。

そうこうしていると、エレベーターが地下駐車場に着いたことを知らせるベルが鳴る。

―ピピッ

スマートキーによってロックが解除されたのはドイツ製の車

『さあ、早く乗って』

彼は私にそう促しながら助手席のドアを開けた。

「お邪魔します...」

初めて乗る外国産の車に少し緊張しつつ、シートベルトを締める。

「ねえ、本当にどこに連れてかれるの？」

『まだ内緒』

いつものいたずらっ子みたいな笑顔を見せると、車は走り出した。