Heartbreaker 【吉沢亮】 (ページ8)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:21,690 hit

8 ページ8

奥の部屋へ入るとそこはまるで18世紀に建てられた宮殿のようで、さっきまでいたシックでモダンな雰囲気のロビーとは全く世界が違って見えた。

その部屋の奥にはその雰囲気にぴったりと合う豪華な装飾のついた椅子があり、そこには女性が座っていた。

“吉沢くんと言ったわね。はじめまして、ジュリエットよ。”

この人が例の。

彼女はシャンパンゴールドのドレスを身につけていて、首にはクレオパトラ顔負けのネックレス、指にはたくさんの指輪をキラキラと輝かせていた。

『はい、お会いできて光栄です。』

雰囲気に圧倒されて、思わず子供の時に読んだおとぎ話の中でお姫様と対面した時の王子がいいそうな台詞が口から滑り出る。

“そんなに固くならないで？”

ふふふ、とこれまたおとぎ話の主人公のように上品に彼女は微笑む。

“そうね...

春馬くんからあなたの話は聞いていたけれど実際に会ってみるとやっぱりあなたに向いているかもしれないわね。”

『合格、ということですか』

“ええ、そうね、明日から来てくれるかしら”

三浦さんが言っていた通り、簡単に受かってしまい、落ちることを覚悟していた僕は正直拍子抜けしてしまった。

『ありがとうございます。これからよろしくお願いします。」

そう言いながら頭を下げる。

“これからの活躍、楽しみにしてるわね”

千葉さんに促されてマダム・ジュリエットの部屋を出た。