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拾参話 ページ16

『童磨、さっきから何?』



「! やっと話しかけてくれた!」



まるで捨てられた子犬がやっと拾ってくれたことに喜びを覚えたかのように、私に縋りつこうとする。その前に、私は彼を避けた。



「なんで、避けるのかなぁ?」



『下手したら、食われるからに決まってるでしょ』



何度もこいつが人間を食べているところを見たことがある。それを避けるために、避けたのだ。



「食べないよ?だって、あの方に殺されちゃうし。あ、でも、味見程度なら許されるかな?」



『結局、食べる気満々じゃないか』



「だって君は美味しいからね。稀血以上に美味しいよ」



ゴクリと喉を唸らした。



『…変態』



「あはははっ!君がどう言おうと、褒め言葉にしか聞こえないよ」



『……どうかしてる』



あいつもそうだが、私もどうかしてる。
何故か、童磨のことは気に食わないだけで、別に嫌いではないのだ。幼い頃は、いつもこいつが助けてくれた。助けてとも言わなくても、勝手に助けてくれる。弱いところに付け込まれたからなのだろうか。



「A、どうかした?」



『別に』



「そうか、そうか。一つ、聞いてもいいかい?」



ニタニタした笑顔が急に消えた。



『何?』



「君は、"鬼になる"つもりはあるのかい?」



無惨様にもそれを聞かれた。
私には、鬼になる覚悟がない。自分が自分でなくなりそうだからだ。



「鬼になった方が君の不幸は終わるだろう。それに、嫌いな人間を快く殺せるからね」



童磨の意見も一理ある。でも、私の何かが鬼になることを拒むのだ。



『しばらくは、人間でいる。鬼ではできないことは、人間である私がするつもり』



「…そうだねぇ。その方がいいかも」



「童磨殿?出ていかれるのですかな?」



「あぁ。玉壺殿、後は任せたよ」



立ち上がり、襖に手をかける。



「A、俺と同じところに堕ちてくれるのを楽しみに待っているよ」



そう言って出て行ってしまった。
助言をしに来たのか、からかいに来たのか。結局何をしに来たのか分からなかった。

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美穂(プロフ) - 終わってしまって寂しいです (2022年8月19日 22時) (レス) @page33 id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 面白いです! (2019年11月6日 7時) (レス) id: f675202b80 (このIDを非表示/違反報告)
mayumi(プロフ) - この後、夢主ちゃんは鬼側即ち鬼殺隊の敵になるという事・・・。無限列車で煉獄は上弦の参に致命傷を負わされ、最後は夢主ちゃんに止めを刺されるシーン見たいですね。勿論柱達にも非業の最後もです。 (2019年10月19日 22時) (レス) id: 58f715f8f9 (このIDを非表示/違反報告)
シレア(プロフ) - 結婚しましょ((殴 あまりにも好きすぎて本音が出ちゃいました・・・け、結婚を前提にお付き合いしましょう!うん!それが良いです!(ダメです)語彙力が無いのでこのくらいしか言えないんですけど・・・作品鬼がかってて大好き過ぎるんです!頑張って下さい! (2019年9月23日 14時) (レス) id: 89e5ec03ad (このIDを非表示/違反報告)
五十嵐 夏目(プロフ) - 大好きです((( (2019年9月22日 23時) (レス) id: d58669ce2c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユラン | 作成日時:2019年9月21日 18時

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