9/昼飯時 ページ10
「声は聞こえていたのだが、罠の仕掛けで手が離せなくてな。助けが遅れてすまない」
長身の男が眉を下げて謝った。
『いいよ、助けてくれたんだし。終わりよければ、全て良しってね!』
「お詫びに先程捕れたネズミをご馳走しよう。筋肉があって、なかなか良いぞ」
り、理鶯のご飯…だと…!?
「ん?どうかしたか?」
『やったー!理鶯のご飯、久々に食べられるー!』
こうやって喜んでいるが内心…
ネ、ネズミ…だと…!?まぁ、前回のタランチュラよりはまだマシか…
理鶯の料理は嫌いではない。味も食感も好きで、今まで食べてきた料理の中でも1番と言ってもいい。
だが、具材。具材なのだ。
具材の正体さえ知らなければ、美味しく食べられるのだが、理鶯があの笑顔で具材の正体を言ってくるので、怖いのだ。特に、虫が無理だ。
「そうか。では、腕によりをかけよう。しかし…」
『どうかした、理鶯?』
「今日は珍しいな。いつもなら左馬刻と一緒にいるはずだが」
『っ!!』
やはり、言われてしまった。
兄貴と一緒にいない方がおかしいのだ。それほど、兄貴といることに日常と化しているのだ。
「どうかしたのか?何か気に触ることでも?」
この場合、ちゃんと言っておいた方がいいよね…
『えっと…実は_』
「…そうか。それは、辛かったな」
料理を作る理鶯を目の前に全てを話した。
「しかし、小官は左馬刻がAを嫌うはずがないと思うのだが…」
『…なんで、そう思うの?』
「Aが気が付かないだけで、左馬刻は気を遣っている。確かに、態度からすれば冷たいが、様々なところでAを大切にしているぞ」
様々なところ…?そんな、逆に兄貴に気を遣われていたの?
「安心しろ、左馬刻は嫌っていない。ほら、ご飯ができたぞ」
『あ、ありがとう…』
ネズミの丸焼きを出され、恐る恐る食べる。
うん、美味しいけど…形が…
「もっと食べると良い。よく食べれば、元気も出てくるぞ」
『じ、充分、元気出ました…美味しいよ。ありがとう』
「うむ。では、腹ごしらえが終われば行こうか」
『行こうって…どこへ?』
理鶯はもう1匹の丸焼きに手を出して言った。
「左馬刻の事務所だ。大丈夫、小官もついて行こう」
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ラウト - すごくいいお話ですね!!続きがめっっっっっっっちゃ気になります!! (2021年2月17日 6時) (レス) id: 698653cd83 (このIDを非表示/違反報告)
珀琥(プロフ) - 続きめっちゃ気になります。更新待ってます。 (2021年2月3日 18時) (レス) id: ef6938680b (このIDを非表示/違反報告)
リドルの妹になりたかった願望から生まれた夜月です。 - すっっっっごい続きが気になりすぎて破裂しそう。更新待ってます……!! (2021年1月7日 2時) (レス) id: 7e61cd56ff (このIDを非表示/違反報告)
しのぶ(プロフ) - まって、続きがきになる (2020年11月1日 6時) (レス) id: db4fa22712 (このIDを非表示/違反報告)
惟(プロフ) - お願いします………続きをください(´;ω;`) (2020年9月30日 1時) (レス) id: afe49cdc60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユラン | 作成日時:2019年8月6日 22時