検索窓
今日:5 hit、昨日:17 hit、合計:451,763 hit

9/昼飯時 ページ10

「声は聞こえていたのだが、罠の仕掛けで手が離せなくてな。助けが遅れてすまない」



長身の男が眉を下げて謝った。



『いいよ、助けてくれたんだし。終わりよければ、全て良しってね!』



「お詫びに先程捕れたネズミをご馳走しよう。筋肉があって、なかなか良いぞ」



り、理鶯のご飯…だと…!?



「ん?どうかしたか?」



『やったー!理鶯のご飯、久々に食べられるー!』



こうやって喜んでいるが内心…



ネ、ネズミ…だと…!?まぁ、前回のタランチュラよりはまだマシか…



理鶯の料理は嫌いではない。味も食感も好きで、今まで食べてきた料理の中でも1番と言ってもいい。
だが、具材。具材なのだ。
具材の正体さえ知らなければ、美味しく食べられるのだが、理鶯があの笑顔で具材の正体を言ってくるので、怖いのだ。特に、虫が無理だ。



「そうか。では、腕によりをかけよう。しかし…」



『どうかした、理鶯?』



「今日は珍しいな。いつもなら左馬刻と一緒にいるはずだが」



『っ!!』



やはり、言われてしまった。
兄貴と一緒にいない方がおかしいのだ。それほど、兄貴といることに日常と化しているのだ。



「どうかしたのか?何か気に触ることでも?」



この場合、ちゃんと言っておいた方がいいよね…



『えっと…実は_』





「…そうか。それは、辛かったな」



料理を作る理鶯を目の前に全てを話した。



「しかし、小官は左馬刻がAを嫌うはずがないと思うのだが…」



『…なんで、そう思うの?』



「Aが気が付かないだけで、左馬刻は気を遣っている。確かに、態度からすれば冷たいが、様々なところでAを大切にしているぞ」



様々なところ…?そんな、逆に兄貴に気を遣われていたの?



「安心しろ、左馬刻は嫌っていない。ほら、ご飯ができたぞ」



『あ、ありがとう…』



ネズミの丸焼きを出され、恐る恐る食べる。



うん、美味しいけど…形が…



「もっと食べると良い。よく食べれば、元気も出てくるぞ」



『じ、充分、元気出ました…美味しいよ。ありがとう』



「うむ。では、腹ごしらえが終われば行こうか」



『行こうって…どこへ?』



理鶯はもう1匹の丸焼きに手を出して言った。



「左馬刻の事務所だ。大丈夫、小官もついて行こう」

10/もう1つのきっかけ 銃兎side→←8/理鶯の罠



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (627 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1779人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ラウト - すごくいいお話ですね!!続きがめっっっっっっっちゃ気になります!! (2021年2月17日 6時) (レス) id: 698653cd83 (このIDを非表示/違反報告)
珀琥(プロフ) - 続きめっちゃ気になります。更新待ってます。 (2021年2月3日 18時) (レス) id: ef6938680b (このIDを非表示/違反報告)
リドルの妹になりたかった願望から生まれた夜月です。 - すっっっっごい続きが気になりすぎて破裂しそう。更新待ってます……!! (2021年1月7日 2時) (レス) id: 7e61cd56ff (このIDを非表示/違反報告)
しのぶ(プロフ) - まって、続きがきになる (2020年11月1日 6時) (レス) id: db4fa22712 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - お願いします………続きをください(´;ω;`) (2020年9月30日 1時) (レス) id: afe49cdc60 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ユラン | 作成日時:2019年8月6日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。