32/弟思い ページ33
あの後、私と二郎はこっそりとその場を去り、静かな公園に来た。
『はい、二郎』
「ありがとう」
買ってきた缶ジュースを二郎にあげ、それぞれブランコに座った。
『三郎…大丈夫かな?』
「心配するほどでもねーよ。あいつ、そもそも友達少ねーし」
さっそく、ジュースを一口飲む二郎。
「性格がひん曲がってるからさ。どうしても、人を敵にまわすんだよな。今までそんな感じだったし、自分のことはちゃんとする奴だから、そういうのは理解してると思う。だから、今回も大丈夫…」
こんな二郎を見たのは初めてだった。
『二郎は…弟思いなんだね』
「…そんなんじゃねーよ」
『いつでもどこでも喧嘩する兄弟の兄が、そこまで弟のことを知ってて、しかも、学校の校門で盗み見するなんて、それはもう弟思いとしか言いようがないんだけど?』
この言葉にぐうの音も出ないようだ。
『本当は心配なんでしょ?三郎が学校で上手くやっているかがさ』
「一応、兄貴だし。そりゃあ、な…///」
顔を赤らめて、小声で言った。
おい、ツンデレか?二郎もツンデレに目覚めたのか?
まぁ、喧嘩している分で素直になれないのだろう。喧嘩するほど仲が良いっていうし…
「三郎に何かあったら、助けてやってくんねーか?いち兄は遠慮して話せないだろうし、プライドが高いから俺に話すなんてことはしないだろうから」
『分かったよ。お姉ちゃんにどんどん頼りなさい!』
ブランコから立ち上がると、昔のように頭を撫でる。
「!? ね、姉ちゃん!///」
『んー?どうかした?』
「頭撫でないでくれよ!もう、ガキなんかじゃないんだから!」
『えー?私から見たら、まだまだガキだよ』
なんて、笑って撫で続けていたら__
「じゃあ、これでもまだガキって言えんの?」
突然、ブランコから立ち上がる。撫でていた手を取られ、引き寄せられた。
その時の二郎の目がアルバイト初日の一郎の目に似ていたような気がした。
『…へ』
思わず、間抜けな声を出してしまった。
二郎がまさかこんなことをするなんて思ってもみなくて。
「_って、あぁああ!?ご、ごめん!なんか、その///」
ほんの少しの間が流れ、二郎は赤面してあたふたしていた。
そんな二郎に一つだけ言いたい。
『二郎、どこでそんなこと覚えたの?』
「教えねーよ!もう、忘れてくれ!!」
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ラウト - すごくいいお話ですね!!続きがめっっっっっっっちゃ気になります!! (2021年2月17日 6時) (レス) id: 698653cd83 (このIDを非表示/違反報告)
珀琥(プロフ) - 続きめっちゃ気になります。更新待ってます。 (2021年2月3日 18時) (レス) id: ef6938680b (このIDを非表示/違反報告)
リドルの妹になりたかった願望から生まれた夜月です。 - すっっっっごい続きが気になりすぎて破裂しそう。更新待ってます……!! (2021年1月7日 2時) (レス) id: 7e61cd56ff (このIDを非表示/違反報告)
しのぶ(プロフ) - まって、続きがきになる (2020年11月1日 6時) (レス) id: db4fa22712 (このIDを非表示/違反報告)
惟(プロフ) - お願いします………続きをください(´;ω;`) (2020年9月30日 1時) (レス) id: afe49cdc60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユラン | 作成日時:2019年8月6日 22時