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24/騒がしい朝 二郎編 ページ25

三郎と同じく、部屋の扉をノックして呼びかけるも反応はなかったので、仕方なく部屋に入る。
縮こまって眠っていた三郎とは違い、こちらは布団を蹴飛ばして、小さないびきをかいていた。



『二郎。ほら、朝だよー』



「…ん。おはよー」



小さな声で挨拶し、起き上がる。



二郎って確か、起きた時の寝ぼけが酷かったけど…成長したんだなぁ…



起きたばかりで部屋から出ようとして、壁に激突した過去を思い出しながら、目の前で頭をかく二郎を見る。



『じゃあ、先に……………え!?』



ちょっと目線を外し、二郎に戻すと言葉が続かず、変な声が出た。







やはり、二郎は変わっていなかった。






朝の癖なのだろうか。ベッドに座る体勢に変えると、シャツとズボンを脱ぎ、パンイチの姿になっていた。



「ん?…………え、姉ちゃん…?」



私の声で意識を覚醒したのだろう。今、自分のしたことに気づいたようだ。



『お、おはよー』



「兄ちゃん、じゃない……」



どうやら、私を一郎なのだと思っていたらしい。
顔を真っ赤になると、ズボンを急いで履き、私を睨む。



「ご、ごめん!!出てッ!そして、忘れてッ!!」



『う、うん!』



急いで部屋の外に出て扉を閉めた。



あれ、二郎ってあんなに女々しかったけ?



まるで、裸を見られた女子のような反応だったので、この疑問が浮かび上がれずにはいられなかった。



「どうかしましたか?」



振り向くと、着替え終えた三郎が不思議そうに見ていた。



「あいつの部屋から声が聞こえたので、あいつに何かされたんじゃないかって…」



『全然!大丈夫!なんでもない!』



小さなことなので、大丈夫(なはず)だ。害も何もない(二郎のことは知らないが)。



「…そうですか。もしあいつに何かされたら、僕に言ってくださいね。A姉に何かあったら、心配ですから!」



『うん、ありがとう。三郎』



「それじゃ、先に行ってますね」



そう言って、階段を下りて行った。それを見届けていると、目の前の扉の開く音がした。



「ね、姉ちゃん…」



『二郎。さっき、ごめんね』



着替え終えた二郎は眉を下げながら現れた。



「こっちこそ、ごめん。別に嫌とかそんなんじゃないから、気にしないで。あ、あとさ…また起こしてくれねぇかな?」



さっきよりも薄く赤くしながら、モジモジする二郎。



『うん、いいよ』



やっぱり、女々しいなと思ったのだった。

25/三兄弟の仲→←23/騒がしい朝 三郎編



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ラウト - すごくいいお話ですね!!続きがめっっっっっっっちゃ気になります!! (2021年2月17日 6時) (レス) id: 698653cd83 (このIDを非表示/違反報告)
珀琥(プロフ) - 続きめっちゃ気になります。更新待ってます。 (2021年2月3日 18時) (レス) id: ef6938680b (このIDを非表示/違反報告)
リドルの妹になりたかった願望から生まれた夜月です。 - すっっっっごい続きが気になりすぎて破裂しそう。更新待ってます……!! (2021年1月7日 2時) (レス) id: 7e61cd56ff (このIDを非表示/違反報告)
しのぶ(プロフ) - まって、続きがきになる (2020年11月1日 6時) (レス) id: db4fa22712 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - お願いします………続きをください(´;ω;`) (2020年9月30日 1時) (レス) id: afe49cdc60 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユラン | 作成日時:2019年8月6日 22時

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