ハマの仔犬は脱走しました【ヒプノシスマイク】 (ページ17)

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16/家族の一員ページ17

一郎曰く、家で"萬屋山田"という何でも屋をしているそうで。とりあえず、山田家にお邪魔させてもらうことにした。

「ただいまー。ほら、入って来いよ」

『お、お邪魔しまーす…』

おそるおそる中に入ると、ドダドダと足音が2つ聞こえてきた。

「兄ちゃん/一兄、おかえり/なさい！」

玄関に現れたのは2人の少年だった。

『うそ…』

思わず言葉を零した。

「兄ちゃん、その人は…？」

「お客さん…ですか？」

ちょうど背の高い一郎に隠れていた私に、2人は気付いた。

「おいおい、忘れたのかよ。宇佐那 Aだよ。お前らが孤児院にいた時、よく姉ちゃんって呼んでただろ？」

「ね、ね、姉ちゃん/姉さん！？」

『そうだよ。久しぶり、二郎、三郎』

小さくて、可愛くて、私を姉と呼んでついてきて、2人仲良く私に泣きついてきていた。そんな2人がこんなに成長するとは、見違える程に驚いた。

『3年間も合わないうちに見違えたよ。2人とも私の身長追い越しちゃって_』

「ね、姉ちゃん…！」

『えっ、ちょっ、二郎！？』

中身はあまり変わっていないのかもしれない。あの頃のように、二郎は今にも泣き出しそうになっていた。

「姉ちゃんにもう、会えないかと思っていた…！でも、会えて…」

「泣くなよ…情けないザマだな…」

「はぁ？それを言うなら、お前も泣きそうじゃないか！」

「ち、違う！これは、あれだ…まつ毛が入って…」

三郎は袖で目をごしごしと摩る。

あれ、三郎。君はいつからツンデレキャラに転職したんだい？

「と、とにかく！姉さん、おかえりなさい」

『おかえりなさい…？』

首を傾げると、一郎はため息を吐いた。

「家族が集まったんだ。ここは、"ただいま"だろ？」

そっか、そうだった。
血は違えど、私たちの絆は家族そのものだ。

だから、笑顔で言った。

『3人とも、ただいま』

左馬刻のとは別の安心感に包まれた気がした。

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そして、その余韻にまだ浸かりたい私は、荷物の奥底で震え続ける携帯を無視した。