８９ 【N side】 ページ19
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マ「受け付けに時間がかかるので少し待っててください」
そのホテルは
俺らみたいな芸能人や、政治家なんかが使うようなところで
とりあえずセキュリティ万全だし
ファンの子たちに見つかるようなことはないと思う
だけど何かあっちゃいけないから変装だけは怠らない
これはもう慣れちゃったけど(笑)
広いロビーのソファに適当に座る俺ら
つーか、Aいないとかほんとテンション下がる
こっちはあんなに頑張って終わらせたのにさ
携帯のゲームでなんとなく暇つぶししてたら
隣の大野さんがとんでもないことを言い出した
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智「A？」
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大野さんの声の先には
すっげぇ綺麗な女の背中
上品なワンピースに
綺麗な髪の毛をなびかせていて
その姿にみんなが体を浮かせる
和「いやいや待って、ここにいるわけないでしょ(笑)」
そう笑ってはみたものの
俺らの５メートルくらい先の
ロビーのデザートコーナーを見ていた彼女の
ちらっと見える横顔が確かにAに似てる
潤「近くに行ってみる？」
翔「声かけてみる？」
雅「…ニノちゃんどーする？」
和「どーするって…ぅあ」
二宮さん動揺しすぎて携帯ふっとんじゃったよ(笑)
柔らかい絨毯の上に俺の携帯が落ちて
拾わなきゃって立ち上がろうとした時
綺麗な指先が先にそれを拾った
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領「…落ちましたよ？」
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大人びた声
驚いて、思わず声がうわずる
和「あ、ありがとうございます」
領「液晶、確認してくださいね」
“割れてると怖いですから”
って天使みたいに微笑んだ彼
柄にもなくドキってしてしまった
男なのに綺麗、って言葉がとてつもなく似合うやつだ
皆も少しぽーっとしてやんの
智「なにやってんだよ」
ぺしって俺の頭をはたくおじさんに
ごめん、って言おうとしたんだ
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だけど
その彼は
真っ直ぐに彼女に歩いていって
.
.
領「A」
.
俺らが会いたくて仕方がない女の名前を
あの大人びた声で
呼ぶんだ
.
この時ほど残酷って言葉を思い出したことはない
ねぇ
どうして君の名前を
ソイツが呼ぶの？
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作者名：まれ
| 作成日時：2014年9月7日 20時
