モノクロ８＜ARS＞ (ページ42)

今日:23 hit、昨日:3 hit、合計:1,171,519 hit

３１２ページ42

.

その日のコンサートは智くんはファンと4人に誕生日を祝われてとても嬉しそうだった

なんだかいいなぁ

とても仲が良くて、信頼しあっていて

だからこそ、その仲を壊しちゃいけないって思う

そんなことをぼやーっと考えていたら

部屋がオートロックのせいで、締め出されてしまった

何やってんの私…

.

急いでフロントから鍵をもらって、自分の部屋に戻っている途中

コンサートの打ち合わせで見たことある人が、うろうろしていて

私を見て、ほっとした様子になった

「あっ、君スタッフだよね？今時間なくて…これ大野さんに渡してくれないかな」

ハワイのコンサートで顔見知りになった人だ

手渡されたのは智くんが忘れたらしいアルバムをモチーフにしたTシャツ

私に渡すと、ぺこりと頭を下げて行ってしまった

…どうしよう

嵐とは２人きりでは会わないようにしたいのに

誰かについていってもらった方がいいかな？

…でも、扉開いてからすぐ渡せばきっと大丈夫

あと、昨日渡せてないネックレスも渡そう

.

智くんの部屋の前に立って、呼び鈴を鳴らすと

しばらくたってから、智くんがドアから顔を出した

智「…A？」

「あ、あの…、これ忘れ物です」

智「おお…、さんきゅ」

ドアの隙間に体をいれてから、私の持ってるTシャツを受け取った智くん

少しお酒が入ってるのか、ほんのり涙目な気がする

ただ、この前あれだけ飲んでいても酔っ払った様子じゃなかったから

智くんはきっとお酒が強いんだ

智「…こんな時間にホテルん中歩いてるの危ないよ」

「フロントに用事があって…ごめんなさい」

まさか締め出されたなんて言えない…

そんな私を見て、ぽんぽんと頭を撫でてくれた

智「ん、じゃあ早く部屋戻りなよ。おやすみ」

そう言ってドアを閉めようとするから、慌てて遮った

「智くんっ…、待ってください、あの…プレゼント渡してなくて」

智「……！」

嬉しそうにきらきら私を見つめる智くんに、罪悪感を覚える

やっぱり、気にしてたのかな…

「これなんですけど…」

箱を渡すと、早速中身を見た智くんが、おおって声を上げた

.