ヤンデレ探偵社員から逃げませう【文スト】

病み9 ページ9

ちょっと息抜きしようと散歩をしてみる。


｢芥川ァァァ！！！｣

路地裏から聞こえる聞いたことのある声。


この声…


｢あ、敦くん！？な、何してるの！？｣

目に映ったのはボロボロの敦くん。
どうしてこんなことに…。


｢！！、Aさんっ！｣

ボロボロのはずなのに私の顔を見るなりパァッと明るくなる敦くん。


｢愚者が。｣

遠くから聞こえた声と同時に黒いモノが敦くんを殴った。

敦くんが遠くに吹き飛び、壁に当たってズルズルと落ちるのを私は只々見るしか出来なかった。


｢な、何…｣

｢そこの小娘。何の用だ。人虎の仲間か…？｣

人虎とは恐らく敦くんのことだろう。

｢は、はい。探偵社です。


｢そうか…お初にお目にかかる、僕の名は芥川。小娘、名を…｣

そう言い伏せた目を上げる彼は私の顔を見るなり動きを止めた。

｢…A…？｣

私の名を愛しそうに呼ぶ彼に私は疑問を隠せなかった。

貴方、誰？

何故、私の名前を？

｢僕の名は芥川、芥川龍之介だ。A、貴様を迎えに来た。｣


その名前と、少しだけ低くなった声。
覚えがある。

幼い頃、貧民街で出会った彼ではないか？


｢龍之介くん…？｣

か弱く呼んだ声に彼は反応し、私の目の前に近寄った。

龍之介くんは異能力者であったのか。
思い当たる節はあるが、変わってしまった彼に動揺を隠せない。


｢A、僕はあの頃よりも強くなった。まだ、あの方には認めてもらってはいないが、



A、一緒にポートマフィアに来い。｣



私の手を縛るこの黒いモノは異能力なんだと、分かるのに時間はかからなかった。

病み10→←病み8

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す