ヤンデレ探偵社員から逃げませう【文スト】

病み6 ページ6

突然聞こえた低い声。

私と敦くんは同時に声のした方へ視線を向けた。

｢あー、なんつうか、恋人同士なら悪かったが、女の方が嫌がってる気ｨすんだよ。無理矢理はよくねぇぜ？｣

この人、知ってる……


｢ポートマフィア幹部、中原中也…｣


｢あぁ？なンだ。手前俺のこと知ってんのかよ。｣


先ほどの優しい雰囲気が禍々しい雰囲気に変わったのがすぐに分かった。

｢あ、いえ…私達、探偵社でして…｣


｢そういえば、手前は芥川がちょっかいかけてる人虎か。｣


敦くんの方を見て、淡々と言う中原中也。

その中原中也に警戒心丸出しの敦くん。

｢そうですけど……何か……｣


｢探偵社さんが昼間っから熱い接吻だなんて関心しねぇなぁ矢張り太宰の後輩だからかぁ？

ま、青鯖には早く死ぬように伝えてくれ。｣

そう言うと肩に掛けたジャケットを揺らしながら去っていった。

助け、られたのだろうか？

敦くんは低い声で｢行こう。｣とだけ呟いた。


＊

｢いい獲物見つけちまったなぁ。あれは上玉だ。俺の物にしてぇ。｣

帽子を深く被り直す彼は、録音機器を取り出し、再生のボタンを押した。


『私達、探偵社でして…』

ザザっとノイズの後に流れた可憐な声に

ポートマフィア幹部、中原中也はうっとりするのだった。


｢幹部様様だぜ。あの女の個人情報なんか手に入れるのも容易い。｣



さぁ、逃げるのは探偵社だけではなくなってきた＿＿＿＿

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