その2 四 ページ8
「で、その違和感ってのはなんなの？」
僕はその違和感に数日頭を悩ませた。
学校で二人の姿を見る度になにかおかしいと思うもののそれがなんなのかは未だにわからないでいた。
そして、家でも頭を抱える僕を見かねた姉さんに全てを話して今に至るわけだ。
姉さんは鏡に向かって美白液だったか化粧液だったかを顔に塗り込みながら背を向けて口を開いた。
「なんなの」と問われてもそれがわからないから悩んでいるのだ。
しかし姉さんが相談に乗ってくれているのに適当にあしらうわけにもいかない。
「うーん、なんなんだろう......」
結局僕は答えになってない返答しかできなかった。
姉さんは液を塗り終え、パチンと頬を叩くと軽くため息をついた。この仕草はよくコマーシャルなんかでも見かけるが何か意味がるのだろうか。
「ちょっと、上の空にならないの」
姉さんに小突かれハッと我に返る。
机の上に出していた液やらコットンやらをカゴに入れて端に置くと姉さんは回転イスをくるりと回してこちらを向いた。
「じゃあさ、何か違和感を感じる前から変わったことは無いの？」
細くスラリとした足を組み、胸の前に手を組むと僕の方を見据えて尋ねる。
変わった事か......無いわけではないが、それがどうしたというのだろうか。
僕らは14歳。思春期だ。変化なんて大したことではない。
だが、姉さんが聞くなら答えないわけにはいかない。
「変わったと言えば、彼女が髪型を変えたりしてたかな。後は仕草が最初に見た頃より変わってたかも」
僕が頭に手を当てそう言うと、それだけで何か察したのか、姉さんはなるほどねと頷いた。
流石姉さんと言うべきか。
「ねえ、髪型って具体的にどう変わったの？」
「前はツインテールだった髪をほどいてたよ。でも、それって何か関係あるの？」
「そりゃあ、あるわよ。ねえ、その子の今の髪型ってこんなのじゃない？」
そういうと姉さんはケータイの画面を僕の方に向けた。
画面には今僕らの年代に人気の若手のモデルが映っていた。
ああ、そういえば確かに彼女はこんな髪型だったな。
「やっぱりね。わかったわよ。その違和感が何かってこと」
僕がこくこくと首を上下に振ると姉さんはそう言い、ケータイを液晶の方を下にして机に置いた。
姉さんはすっきりした様子だが、未だに僕の頭からモヤモヤは消えない。
さっきのモデルは何か関係があるのだろうか。
「まだ、分からないようだから説明してあげる。なに、簡単なことよ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
八舞(プロフ) - MANA☆さん» コメントありがとうございます。いつもと違う感じのを作ったのでお気に召して頂けたなら幸いです (2016年9月23日 10時) (
レス) id: 6e6efe270e (このIDを非表示/違反報告)
MANA☆ - コメント失礼します!占ツクでは珍しくまともな小説でとっても面白いです!!更新頑張って下さい(*^^*) (2016年9月15日 21時) (レス) id: 474683ec26 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：八真生 | 作成日時：2016年8月24日 16時
