その2 二 ページ6
その後晴也は覚悟を決めたのか洗いざらい全てを僕らに吐いた。
晴也の話を要約するとこうだ。
先週の日曜、部活の練習試合で学校に来ていた晴也はテニス部の女子と帰り道に会った。
彼女は晴也と同じクラスの女子で、部活の片付けのせいで辺りが既に暗くなっていたこともあり一緒に帰ることにしたらしいのだ。
あまり話すことは少なかったが以外にも会話が弾んだそうで、そして彼女の家の前につき別れようとしたところで告白されたとのことだった。
話を聞いた僕たちは唖然とした
「それってつまり、お前が告ったんじゃなくて
お前が女の子の方から告られたってこと?」
僕らの中で比較的理性の働く真人が沈黙を破った。
そうだ。何よりも僕らが耳を疑ったのはそこなんだ。
真人、よく言ってくれた。
「そう。だからオレが進んで抜け掛けしようとしたわけじゃない。
だって女の子の方から言われたんじゃ断れないだろ?」
首を傾げる晴也。
僕らはあまりの衝撃に未だに唖然としていたが、黙っている僕らに調子に乗った晴也は「いやあ、参ったよ。突然、『あの、私、ずっと前から晴也君のこと好きで、良かったら私と付き合ってください!!』なんて顔真っ赤にしちゃってさ」と自慢げに語り始める。
すると耐え切れなくなった修平が晴也の首めがけて絞め技を掛ける。
ああ、修平は本気だ。さぞ痛かっただろうなあ。
しかしもはやそれを止めるものはこの場にはいなかった。
晴也にはその帰り道、全員分のアイスを奢らせて仕方なく許してやった。
僕らはその二人を引き裂くほど野暮じゃないんだ。
抜け駆けは許せないが女の子がわざわざ告白したというのにそれを無駄にするようなことはどうしても気が引ける。
なんせ、僕の信条に反するからね。
「遅かったね。まあこうちゃんもお年頃だしね当然か」
家に着くと玄関で丁度姉さんと出くわした。
「友達にアイスを奢ってもらってたんだよ。
それでちょっと話ししてたら遅くなっちゃってさ」
「また男友達なの?こうちゃんもう2年なんだしそろそろ彼女なんか連れてきてもいいんじゃない?
あたし心配よ。顔はいいのに、そう遊んでばっかりじゃ」
ああ、ここでも彼女か。
お言葉ですが余計なお世話ですよ姉さん。
だが僕は姉さんには弱いのだ。それに姉さんの言うことは最である。
「そう心配しなくてもすぐにできるよ」
台所から良い匂いが漂ってきて僕は適当に返した。
ごめんね。姉さんとの話は楽しいけど、僕は空腹には耐えられないんだ。
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八舞(プロフ) - MANA☆さん» コメントありがとうございます。いつもと違う感じのを作ったのでお気に召して頂けたなら幸いです (2016年9月23日 10時) (
レス) id: 6e6efe270e (このIDを非表示/違反報告)
MANA☆ - コメント失礼します!占ツクでは珍しくまともな小説でとっても面白いです!!更新頑張って下さい(*^^*) (2016年9月15日 21時) (レス) id: 474683ec26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：八真生 | 作成日時：2016年8月24日 16時
