嘘から生まれたボク Ⅰ (ページ40)

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玉森side

玉｢鍵は？｣

池｢……これ｣

鍵を受け取って、ドアを開ける。

家に1歩入り込むと、Aは玄関にしゃがみこんだ。

玉｢Aっ｣

池｢…っ……く｣

玉｢ベット、ベット行こう！｣

苦しむAを支えて、リビングのドアを開ける。

……なんだ、この部屋。

かなり広い部屋。

南側は1面窓で左手前には大きなI型キッチンがある。

オシャレな家なのに、この家には家具が何も無い。

池｢寝室…あっち……｣

玉｢わかった｣

Aはゆっくりと歩き出す。

部屋に入ると大きなキングサイズのベット。

Aは力尽きたように、そこに寝転がった。

どうしよう…

俺は、どうしたらいいんだ。

池｢…っ…たま｣

玉｢ん？何っ？｣

池｢あり、がと、もう帰っていいよ……｣

玉｢こんな状態のA置いて帰れないでしょ｣

池｢お、れは…大丈夫だから…｣

絶対に大丈夫じゃない。

玉｢A、病院行こう？｣

池｢だい、じょうぶ…寝たらなおる……｣

Aはどんなに説得しても

病院は行かないと言って聞かなかった。

体の秘密のこともあるし

Aが拒否するのは仕方ないのかもしれない。

そう思うと、俺も強くは言えなかった。

何も出来ない自分に苛立ちを覚えた。

池｢だ、いじょーぶ…だから…｣

玉｢A…｣

池｢玉も…寝よ…？｣

首をふるふると横に振る俺。

それでもAは俺を安心させるかのように

｢大丈夫だから｣

｢玉も一緒に寝よう？｣

と、ずっとその言葉を繰り返していた。

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