嘘から生まれたボク Ⅰ (ページ21)

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玉森side

コンサート初日は無事に終わった。

今日のAは、元気がなかったように思う。

焼肉の時も全然喋ることなく

ただひたすら反省点と変更点をメモしてた。

逆にコンサート中はテンションがやけに高かった。

……ちょっと、様子見に行こうかな。

玉｢あ、宮田｣

宮｢あれ、どっか行くの？｣

部屋を出ると、ドアの外には

丁度宮田が俺の部屋のインターホンを押そうとしていた。

玉｢Aの部屋｣

宮｢ホント最近仲良いね笑｣

玉｢…今日のA、ちょっと変じゃなかった？｣

宮｢え？｣

玉｢なんか、元気なかった気がする｣

宮｢俺は全然そんな風には思わなかったけど…｣

玉｢そっか、でも俺ちょっと様子見てくるわ｣

宮｢じゃあ俺はキタミツの部屋でも行くかな笑｣

宮田は俺に自販機で買った炭酸を渡して

そのままミツの部屋の方へ消えてった。

宮田から貰った炭酸とスマホを持って

Aの部屋に向かい、チャイムを鳴らす。

池｢…玉？どうしたの？｣

ロックが解除され部屋に入ると

玉｢なんか今日元気なかったなーと思って｣

Aは俺の言葉に困ったような笑顔を作って

窓にもたれかかって、夜景を眺め始めた。

1面窓のこの部屋は、月明かりだけで大分明るい。

間接照明のみ付けられたこの部屋は

まるで俺の部屋とは別物のように感じた。

玉｢…なんかあったの？｣

外の景色を見ているAは

ぼーっとしていて、やはり元気がない。

気の所為じゃなかったみたい。

池｢何もないよ｣

Aは俺を見ることなく、そう答えた。

玉｢また隠してる｣

俺が何を言っても

Aは何も喋らなかった。

何も喋らないまま、時間だけが過ぎてった。

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