嘘から生まれたボク Ⅰ (ページ12)

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玉森side

車に乗り込むと

既にAの拘りがかなり施されていた。

ちょっと、意外だった。

拘りとか、ないのかなって勝手に思ってたから。

池｢どこ行こうか｣

玉｢行きたいとこある？｣

池｢うるさいところは苦手なんだよな｣

玉｢静かな場所かぁ…｣

池｢なんかいいとこある？｣

赤信号で止まったAが、ちらっと俺を見た。

_____どくん

……まただ。

また心臓が五月蝿く跳ねだした。

玉｢……じゃあさ。

テイクアウトして、俺んちで食べる？｣

池｢玉がそれでいいなら｣

玉｢よし、じゃあ俺テイクアウトできる店まで道案内するわ｣

静かな店なら、いくつか知ってるのに。

Aともっと距離を詰めたくて

メンバーすら呼んだことのない俺の家に呼んだ。

.

池｢お邪魔します｣

玉｢はい、これスリッパ｣

池｢ありがと｣

リビングの電気をパチッと付けて

散らかってないか確認する。

今日もルンバは正常に機能してくれたみたい。

池｢はい、お酒｣

玉｢んー｣

池｢家なんだし、今日は気にせず飲んで｣

玉｢ありがと笑｣

池｢玉、今日は本当にごめんね｣

玉｢……うん、いいよ？笑｣

そんな何回も謝らなくたっていいのに…

ただ少し寂しくなっただけで

俺全然怒ってなんかないんだから。

それなのにAは

俺の表情を伺うように見てきて

すごい申し訳なさそうにしてる。

.

.

.

池｢…玉？｣

玉｢………んー｣

Aの話をいっぱい聞きたいのに

何故か話してしまうのは俺の方だった。

聞き上手なAは飲ませ上手で

俺は2時間も経たないうちに睡魔に襲われた。

とん、とん…と規則正しく背中を叩いてくれるA

ダメだよ…

それ寝ちゃうから…

そうして俺はいつの間にか

Aの膝の上で眠ってしまっていた。

.