嘘から生まれたボク Ⅰ (ページ11)

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玉森side

くいっと、衣装の袖を

引っ張られて後ろを振り返る。

玉｢ん？｣

池｢玉、終わったら待ってて｣

撮影が再開される直前

珍しくAに呼び止められた。

藤｢あれ、まだいたの？｣

玉｢うん、A待ってる｣

藤｢ああ…そうなんだ。

じゃ俺次あるから、お疲れ｣

玉｢お疲れ｣

端っこにあるパイプ椅子に座ってAを待つ。

カメラマンはAが動く度

シャッターを何度も切っていて

一瞬でもAの表情を

撮り逃さまいとしているようだ。

池｢お待たせ｣

玉｢終わった？｣

池｢ん｣

ささっと着替えを済ませた俺たちは

地下の駐車場へ向かう道をすたすたと歩いていく。

が、突然ぴたっと止まるA

玉｢どした？｣

池｢今日、ごめん｣

玉｢…いーよ笑｣

Aは振り返ると、俺に謝罪した。

謝られるなんて思ってなかった俺はちょっとびっくり。

謝るのは俺の方なんだけどな…

正直俺も、突っ込みすぎたかなって

まだ俺らの関係じゃ無理だよなって

少し、いやかなり反省してた。

玉｢じゃあ仲直りの証にご飯でも行かない？｣

池｢俺が誘おうと思ってたのに｣

玉｢気が合うね｣

池｢じゃ、行こっか｣

また、Aと2人でご飯に行ける。

また、Aの笑った顔が見れる。

そう思うと、嬉しくなった。

池｢行こ｣

玉｢あ、待って。

今日、車じゃないからタク…｣

池｢うん、わかってる｣

タクシーで行こう。

そう言う前にAに言葉を遮られた。

Aは止まることなく地下駐車場へと歩く。

ピピっ

池｢助手席座ってくれる？｣

玉｢え、これ…誰の車？｣

池｢俺のだけど｣

玉｢…えっ、車持ってんの？！

ってか、いつの間に免許取ってたの？！｣

池｢高校卒業してすぐ取ったよ｣

玉｢いや、言おうぜ？！｣

高校卒業してすぐって…

つい最近じゃん！！

教習所に行ってることも知らなかったし

それにまさか、車買ってたなんて…

玉｢マジか｣

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