嘘から生まれたボク Ⅰ (ページ37)

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玉森side

2週間後、やっとAと仕事が重なった。

まだA以外、メンバーは誰も来ていない。

池｢心配かけてごめん、もう大丈夫だから｣

顔を合わせるなり、Aはそう言った。

確かに、全然痛そうにはしてなかった。

玉｢すごい心配したんだからね｣

池｢…長崎で仕事が終わったあと、入院したの結局｣

玉｢え？｣

池｢大丈夫って言ったんだけど、一条が念の為って｣

一条さんを見ると、視線があった。

呆れたような目をして溜息をつきながら
俺にこくり、と頷いた。

このアイコンタクトは、もうAは大丈夫ってことなのか。

玉｢じゃあ、LINEくれたら良かったのに｣

池｢やだよ、入院したって言ったら絶対玉来るじゃん｣

入院したって聞いてたらお見舞いに行ったのに。

と、今にも口から出そうだった言葉を慌てて抑えた。

玉｢まあ、もう大丈夫なら良かったよ、あー心配した｣

ごめんね、と謝るAを観察すると

1つ、2週間前と違うところに気付いた。

玉｢そんなバングル持ってたっけ？｣

普段、稼いだお金をどこに使ってるのかと

疑問を持つくらい私物を買わないAなのに。

池｢これね、一昨日ガヤが入学祝いにってくれた｣

玉｢へぇ…｣

ドアを開けてあげたり

飲み物を用意してあげたり

ガヤはAに対して特別優しい。

今に始まったことじゃないから

そこまで気にしてこなかったけど…

Aが女の子って知った今

俺にはガヤが不自然に見える。