情報整理は大事。【第二話】 ページ3
「私が刀を扱う…え?」
嘘だと言って欲しい。が、胡蝶しのぶが嘘を吐いているようには見えない。それに何より、胡蝶しのぶに先程手渡された制服のようなものと羽織は私のサイズピッタリであったし、今履いているブーツは私の私物だ。胡蝶しのぶが調達出来るはずがない。
思わず天を仰ぎそうになって、無理矢理思考を胡蝶しのぶの話に向ける。
「えぇ。ほむらさんの着ていらっしゃる服はほむらさんが倒れていた時のものですし、刀も同様です。」
ですからほむらさんは我々と同じ、鬼殺隊ですね!と、こちらの気も知らずにニコニコと微笑みながら話す胡蝶しのぶに若干の殺意が湧いたが、殺意よりも気になるワードが聞こえた。
「…鬼殺隊。」
「えぇ。覚えていらっしゃいませんか?」
覚えているも何も、私はこの世界の住民ではない、とツッコミそうになって、口を噤む。いきなり「私この世界の住民じゃないんです。」と言ったところで、頭のおかしい奴だとしか思われないだろう。こうなると記憶を喪失した人間を演じる他無い。
胡蝶しのぶの問いに首を横に振る。
「あら…。記憶喪失ですか?」
「私に聞かれても…」
真っ当なツッコミにそうですよねぇ、と笑う胡蝶しのぶは呑気で、殴りたくなるのを抑えて話を続ける。
「…それで、鬼殺隊って?」
「まぁ、簡単に言えば政府不公認の産屋敷耀哉様が長を務めている、人を鬼から守る組織のことですね。最終選別、と言う試験を通り抜けなければ鬼殺隊にはなれませんが。」
ふむ…、と少し首を傾けて胡蝶しのぶの言葉をゆっくりと噛み砕く。つまりは、この世界の鬼を殺し、人間を守る組織。だが、政府不公認。
簡単に考えて、魔法少女と同じ。…だと、思っておけばいいのだろうか。
一応、理解したフリをして首を縦に二回ほど振ってやると、胡蝶しのぶは満足そうに笑った。
「わかったんですね、よかったです。」
鬼のことや蟲柱、呼吸の事について饒舌に話す胡蝶しのぶをただ呆然と見つめていると、いつの間にか辺りは暗くなっていた。
「あら、もうこんな時間ですか。」
先程も説明しましたが、辺りが暗くなってくると鬼が現れるんです、と今までになく真剣な表情で月を見上げる胡蝶しのぶの傍に、鴉が寄ってくる。
「胡蝶シノブ、オ館様がオ呼ビダ!暁美ホムラヲ連レテ、産屋敷マデ赴ケ!カァー!」
突如出される自分の名前に驚くが、兎に角今はこの鴉の命に従うしか無いだろう。だが…
「私、何もしてないわよね…?」
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ねこふらい(プロフ) - スフィアさん» わー!趣味が合いますね…!!ありがとうございますー!!頑張っていきます!! (2020年3月19日 15時) (レス) id: 0c32e81106 (このIDを非表示/違反報告)
スフィア(プロフ) - 2つとも私の好きな作品なので、すごい嬉しいです!更新頑張ってください!! (2020年3月19日 11時) (レス) id: 689f4055d4 (このIDを非表示/違反報告)
ねこふらい(プロフ) - らみりさん» ありがとうございます!!ご期待に添えるよう頑張って書きますね…!!! (2020年3月14日 12時) (レス) id: 0c32e81106 (このIDを非表示/違反報告)
らみり(プロフ) - イッキ見しました!!これからどうゆう展開になるか楽しみにしてます!! (2020年3月14日 9時) (レス) id: 0c67741c38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねこふらい | 作成日時:2019年12月18日 21時