例えば、君が恋と呼ぶのなら【ファンタスティックビースト】 (ページ5)

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ある冬の日の話ページ5

***

「それにしても、貴方がこんな所で魔法動物を育ててるなんて、私全然知らなかったわ」
「……ここには、僕以外誰も来たことないんだ。その、僕の知る限りはね。だから、知らないのも当たり前だよ」
　
　
　アイリスは物珍しそうに物置中を見回し、魔法動物達をしげしげと眺めながらそう言った。
　散らかってて恥ずかしいから、あんまり見ないで欲しいな……。
　
　
「ねえ、ニュート？」
「ど、どうしたの？」
　
　
　一通り眺めて満足したのだろうか、アイリスがふと僕の名前を呼んだ。正直言ってちょっとだけどきどきした。
　
　
「あのね、もし良ければなんだけど。
　私、時々ここに来てもいいかしら？」
「え、な、なんで！？」

　
　突拍子も無いことを言い出したアイリスに、僕は飛び上がるほど驚いた。彼女の思考がよくわからない。いや、本当に。
　
　
「恥ずかしい話なんだけど……私、魔法生物飼育学が凄く苦手なの」
「君に苦手な科目なんてないだろ？」
「そんな事ないわ。動物は好きなんだけど、扱いがあまり得意じゃないの……ほら、予想出来ないことをするじゃない。ちっとも思い通りに動いてくれないでしょう？私はそういうのより、はっきりと答えが出る学問の方が好きなの。数占いとか」

　
　確かに理論的なアイリスは数占い好きそうだ。なんて、現実逃避みたいな事を思った。
　因みにどうでもいいけど僕は数占いなんて難しそうな科目取ってないし(代わりに占い学を取ったんだけど、そっちの才能もまるきり無かった)、どんな事をやるのかもほとんど知らない。テセウスが熱心に勉強していたのを横目でチラッと見たことがあるくらいだ。
　
　
「ねえニュート、お願いよ」
「う、うん……わかった」
　
　
　本当は僕なんかが教えられることなんて何も無いと断ろうとしたんだけど、彼女のきらきらした瞳に耐えられなくなった僕は遂に頷いてしまった。それに助けてもらった恩もある。どうしても断りきれなかった。
　
　
「本当！？ありがとう、ニュート！」
　
　
　彼女はぱあっと顔を輝かせ、はしゃいで僕の手を取った。かと思えば、未だに手の中にいて潰れそうになっているピケットに気付いて慌てて手を離してくれた。びっくりした……。