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志村家に着き、インターホンを押すと直ぐに姐さんが出てきてくれた。
「もう、遅いですよ」
と微笑んで庭の方に案内してくれる。
そこには、ボッコボコにされた近藤さんが白目で伸びていた。
「おーい近藤さん?起きろー」
揺さぶってみても、うわ言のように「お妙さん…」と呟くだけで、起きる気配がない。
『あー悪ぃお妙。この人三途の川付近まで行っちまってる見てぇだ』
「そのまま渡っちゃってくれて構いませんって伝えてください」
『渡られたら俺らが困るんで無理。却下』
そうなの…残念、と本当に残念そうな顔で目を伏せる姐さん。
まあ毎日のようにストーカーされているんだから無理もないか。
近藤さんの肩を持ちつつ志村家を出る。
暫くするとようやく目を覚ました近藤さん。
『…よう近藤さん、お目覚めスか?』
「…志樹か、悪ぃないつも迎えに来てくれて」
ニカッと笑う近藤さん。
こういう人を漢というのだろうな。
『…?ちょ、近藤さん?どこ行くんですか?』
「俺はこれしきのことで諦める男じゃねェ!折角来て貰って悪いが、俺はまた、お妙さんの元に行ってくる!じゃあな!」
『…おう、逝ってらっしゃい』
「漢字違うけど!?」
馬鹿だろ。1回ボコされてまたボコされに行くんだ。逝けとしか言いようがない。
『悪いけど近藤さん、今度は自力で帰ってきて下さいよ。2回も行くのめんどいんで』
「わかってるさ!…お妙さァァァん!!!」
そう叫びながら走り去っていく近藤さん。
5秒後くらいに、えげつない断末魔が聞こえたような気がしたが、特に気にもせず帰路についた。
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作者名:グミ | 作成日時:2019年11月16日 18時