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…
「きゃっ、新見さんだわ…!」
「かっこいい…でも、女性なのよね…?」
「おーい副長補佐さーん!頑張れぇ!」
「応援してるわよー!」
1度歩けばそんな声が俺に向かって飛び交う。
いやぁ俺もついにモテ期が来たかあ!!!アッハッハッハッハッ!
……虚しくなるやめよ。
『おう!ありがとな!』
とりあえずこんな返ししか出来ないが、…やっぱり嬉しいもんだ。
「……オイ見ろよ。あれが女隊士だってよ」
「うっわ、なんかひょろっとしてんな…。あれで江戸の平和守れんのかよ?」
「無理だろ、今まで生き残ってんのはまぐれで、今奇襲とかかけられたら即死しそうだわ」
「あははっ、確かに!」
裏路地に差し掛かって聞こえた、男ふたりの声。
ニヤニヤとこちらをずっと見ている。
「つーか女にしては胸無さすぎじゃね?」
「バッカお前、男が胸あったら変だろ、きっとサラシとか巻いてんだろ」
「あっそっかァ!」
その通りだが。何か。
ていうか元からあんま無いんだけどとりましんどく?
……ダメだ。今ここでキレたらまた騒ぎになる。ここは我慢だ…我慢。
「…オイお前さァ!さっきから何ジロジロ見てんだァ?」
さっきの男二人が裏路地から出てきた。
『…見てんのはそっちだろ』
「言いがかりかよ!
何そんなに見て、俺たちのプライヴァシー、知りてーのか?」
めっちゃ巻舌だったんだけど今、「プrrrrrrrrrrrrrrrライヴァシー」ぐらいあったよ?なんでそんなに「ヴァ」って発音よく言うのかな?お兄さ、…お姉さんにはよく分かりません。
「人のプライヴァシー覗くのって、警察がやることかァ!?オイィ?
テメーみたいな江戸も救えないような半端ヤローは風俗にでも行って身体売ってこいや!ちょっとは稼げるかもしんねーぜ?」
…確かに、俺じゃ江戸は救えない…。
やっぱり、…俺は真選組に相応しくない。女はいちゃいけないのか。
立ち直りかけていた心が、またボロボロになって行く。
やっぱりそう思っている人もいるのか。その時点でもう俺は…。
「……グハァア!」
そんな汚い悲鳴が聞こえたと思うと、男2人は何者かにぶっ飛ばされた。
「何すんだ、てめ……」
「オイ今お前、何つった?」
その後に聞こえた、…頼もしい声。
2人は突きつけられた木刀を凝視し、震えている…。
「聞こえねーのか?なんつったって聞いてんだよ…もういっぺん言ってみろ、次は、…ぶっ飛ばすじゃ済まねーぞ」
そいつは、陽の光で煌めく銀髪の男だった。
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作者名:グミ | 作成日時:2019年11月16日 18時