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『…よ、おばちゃん』
「あら新見さん。いらっしゃい」
『ほい200円。いつもんとこ、空いてるよな？』
「もちろん空いているよ。ゆっくりしてきな」
『おー』
スーパー銭湯にて、俺は銭湯の受付のおばちゃんとそんな会話を交わし、”いつもんとこ”へ向かった。
女子風呂、男子風呂を通り過ぎた所にある小さな扉には、【貸し切り風呂】と表記されている。
そう俺は、毎日貸し切り風呂にて入浴しているのである。
女にも男にも、バレちゃ不味いもんな。
『…なんでまたこんなことに…』
私服のポケットに入っていた財布は、大分軽くなったように思う。
言い出したのは俺だし、世話になる身なんだからそんくらいはしないと…でも、1週間持つかなぁ…。
そんなこと考えながら、俺は服を脱いだ。
…
『ふー、さっぱりしたァ』
頭をタオルで拭きつつ、カゴにいちご牛乳と普通の牛乳の入った瓶を2つ入れ、銭湯を出る。
すると、近くから「まだこの辺りにいるはずでィ、探せ！」という声が。
沖田じゃん。
それに、1番隊の声も聞こえる。
何かあったのか。
「どこ行きやがった…桂！」
あぁ…あいつか。
しょうがねェ、見つけたら屯所まで持ってってやろうかな。
とか思って正面を向くと、そこには長髪の男と、でっかい白いなんか、…なんか。
が、壁にへばりついていた。
『…何やってんだよ』
「…」
『聞こえてる？』
「…」
『無視やめろ桂さーん。逮捕すんぞー？』
「…」
『……ヅラァァァ！！！』
「ヅラじゃない！桂だ！」
桂はそう叫び、俺に向き直った。
「新見殿…なぜ俺の擬態に気づいた？」
『いや、ただ壁にへばりついていただけだよね』
「俺の最終奥義…アインズ・ミミクリィズ・エタノール・ヅラジャナイ・カツラダ・バクフテンプ…」
『長いよ』
寿限無じゃねーんだよ。
ピカソでもねーんだよ。
ていうか最後もう自分の願望だよね。幕府転覆って言いかけたよね途中で俺が止めたけど。
てか何エタノールって。なんでエタノール？
「…略してエタノールを、どうして見破った！？」
『どうして今疑問に思っていたそこを略した!?』
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作者名：グミ | 作成日時：2019年11月16日 18時
