FIRST LOVE.3

132 ページ34

・









藤『今週までにはもう一度玉と話すように。

いいな？』






そんなこと言われてもな…。




考えとく、とは言ったけど…
私だって言えるならもうとっくに言ってるよ。







先生「いいかー、

ここの点とここの線を結ぶことによって……








ため息つきながら
ぼーっと授業を聞く。





いつもなら暇でも
先生の寝癖見て今日どんな寝方したのかな、とか

いつもより派手なネクタイだから
何かめでたいことでもあるのかな、とか


考えるけど。





今はそんなこと考えられるほど
頭の中は余裕がない。



こんなぼーっとしてるけどね。









・









黄昏るように外を見てたら
野良猫なのかキャンパスをふらつく茶色い猫を見た。









最近やたらと猫が目に入る。




それに加え全部の猫がタマに見えてしょうがない。









「はぁ……。」







余計にため息が出て
タマとセットのように裕太も頭によぎった。









ほら。
気付けば猫の落書きとかしちゃってるし、私。








藤『自分が原因で別れて家も出て行かれたって思ってるぞ。』









分かってるよ。
分かってるけどさぁ〜。









いつもなら単位落とすまいと必死に聞く授業も
あいつのせいでそっちのけ。



離れたところにいる太輔を
不意に見れば紗那と仲良しそうに
こそこそ話してた。









今、太輔の家に私は居候してるわけだけど…。



本当。迷惑だよね。








いつも思うの。





コンビに行ってくる、って言って家出ていく振りして
きっと電話してる。

私が居るから家でも多分
堂々と出来ないんだ、って思うと
どんだけ邪魔なのって。




それに私が居ることによって
紗那も気を遣うと思うし。








２人は優しいからそんなことないとか言うけど
本当は内心思ってるんだって。


そう言わせてること自体がまず、
気を遣わせてるよね。









・

133 ・玉森SIDE→←131 ・玉森SIDE

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す