60c Blumenstrauß～空の花束～【リヴァイ夢】 (ページ26)

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𑁍 09 ページ26

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「それでね、蝦夷森さん「君は結局エレリが好きなのか、リヴァエレが好きなのか？」ってずっと聞いてきて──」

　冬にはコタツへと変化する机は、わざわざハンジが持ち込んだものだ。

　こっちの世界に来て偉くその機能性と心地よさを気に入ったらしい。

　リヴァイに特にこだわりがないためにそのままで放置しているローテーブル。

　その上に並んだ夕食は、Aが作ったものだ。

　大学に居たころにはそういったことをしなさそうだと思っていたが、意外なことに、Aは料理は好きらしく、こうやって夕食を作って待っていてくれることがある。

　地下街に居た頃は育ちのため、地上に上がってからは多忙のため、食事ができない事もままあり、リヴァイ自身、食への執着も薄かったことも手伝って食事を紅茶のみで終わらせたこともあった。

　特に食べたいものなく、それでいいと思えていたし、そもそも、そんなに美味しいと感じるものは、あの壁の中にはなかったのだ。

　島の外との交流の結果もたらされた新しい食文化も、若い兵士なんかはすぐにそれに適応していたようだったが……。

　リヴァイはそこのところもなかなか融通が利かず、そして忙しい事に変わりなかったことから、やはり食は細かった。

　こちらの世界に来てからは、そもそも身体が人形であったことからその必要がまったくなくなってしまったのである。

　しかし、人になり、空腹を覚え、食堂で一番最初に口にした昼食。学際でAに手を引かれ、渡されたサンドイッチ、春先にAの実家に行ったときに出された食事なんかは、リヴァイが美味しかったと感じ、彼の記憶に残っているものだ。

　そして、Aがこうしてリヴァイの為にも作ってくれる食事は、さらに何とも言えない温かさを感じる。

　これは今までにはなかったことで、そのおかげかリヴァイも食事を美味しいと感じ、純粋に楽しめるようになっていた。