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Waku side
『、あの、わたしいつも湧くんがみんなに優しいのとか笑った顔とか、すごく素敵だなって思ってて…
もし良かったら、ハチマキ、交換してもらえないかなって』
目の前の女の子は顔が真っ赤で、必死に紡ぐ言葉も震える声も
自分のために勇気出して声掛けてくれたんだな、って思うとやっぱり嬉しくて。
でも、やっぱりおれがハチマキ交換したいやつも
笑顔にしてやりたいのも
あいつ1人だから
｢気持ちはうれしい、んだけど
俺他にハチマキ渡したい人ずっと前から決まってて。だから…ごめん｣
『やっぱりそうだよね、、ごめんね、ありがとう時間とってくれて』
高橋さんでしょ？がんばってね！なんて、今日まで話したこともなかった子に言われてびっくりして。
一瞬断った時に泣かれたらどうしよう、とか思った自分をちょっとだけ殴りたい。
きょろきょろと周りを見渡せば、交換し終えた子たちも交換中の子もまだたくさん。
俺も早く行かなきゃ。
誰かに、取られちゃう前に。
A｢っ、わく、！！｣
｢え、っ、？｣
振り返った先には、迎えに行こうとしてたあいつがいて。
Aから来るなんて思いもしてなかったから、何かあったのかな、なんて。
｢どした？なんかあった？、｣
近づいて顔を覗き込めば、ちがう、と首を横に振って噛み締めた唇。
めいっぱい深呼吸したと思ったら、クラスTシャツの真ん中辺りをぎゅっと握りしめた。
A｢あのね、｣
｢うん？｣
勝手にドクドク音を立て出す心臓に、おちつけって心の中で宥めるけど
そんなの知らないとでも言うように、リズムはどんどん加速して。
鼓膜に響くその音にかき消されないように、Aの口から出る言葉に、必死に耳を傾けた。
A｢わたし…っ、わくとずっと、一緒にいたい｣
｢…は、｣
A｢わくのとなりに、ちがう女の子がいるようになるのは、いやだ…っ、｣
｢おま、ちょ、泣くな！！｣
そこまで言うと、ぶわっとAの目から涙が溢れ出して
あーもう、お前以外の人選ぶわけないじゃん、って。
｢ほらおいで、｣
引き寄せたAがぎゅっとしがみついてくるから、こんなならもっと早く言えばよかったなって
ちょっとだけ思ったり。
でもやっと、自分の中で言うって踏ん切りついたから。
だから聞いて、俺の気持ち。
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作者名：スイ. | 作成日時：2021年8月31日 21時
