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▽. １ 高杉晋助 ページ2
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「……お前は何度私をがっかりさせれば
気が済むのだ」
頬にじんじんと熱を持った痛みが広がり、
口の中は鉄の味がする。
目の前に放り投げられたのは
俺を殴りつけた血の付いた扇子で、
閉じられたままのそれが畳の上に転がるのを
じっと見ていた。
親父がご立腹なのは、
俺の素行の悪さ故である。
気にくわない塾生たちの喧嘩を買い、
暴れて帰ってきたらこれだ。
ふっかけてきたのは向こうだが、
周りが俺を咎めるのは「やりすぎだ」という
ことなんだろう。
ただでさえ最近は授業にも出ていない。
形ばかりで何の役にも立ちはしないものを
学ぶ必要はないと思っても、親父がそれを
許してはくれないのだ。
自分がどこへ行くのか
どこへ行きたいのか
何をしても意味を見出せない。
夕飯抜きの罰を食らった俺は、
日が暮れ始めた空の下を
家を出て歩き出した。
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作者名：あやの | 作成日時：2018年5月20日 20時
