氷とダンス ページ4
「Aのやつ飛べなくなったらしいぞ」
「ああ、聞いた。シングルで飛べないなんて致命的だろ」
「あの子も終わりね」
「あっ…!」
ジャンプをしようとした私はうまく踏み切りができず、飛べないまま転倒する。
脚はなんともない。
だけど、心臓がバクバクとうるさい。
ジャンプをすることが完全に恐怖へと変わっていた。
「くそっ…!くそっ…くそっくそっくそっ……」
氷の地面を何度も殴り、涙の粒が落ちていく。
「A」
ジャンプ以外の練習が一通り終わった私はコーチに呼ばれた。
私が近くに来るとコーチはこう言った。
「次の日曜日。試合を見に行くぞ」
試合…。本当は私も出るはずだった試合。
「…はい…」
コーチは何が言いたいのだろうか。
わざわざ…私の傷をえぐりたいのだろうか。
行きたくないと思いは強くても日曜日は来てしまった。
「さ、もうすぐ始まるぞ」
朝から待ち合わせをして、場所に着いたコーチは私を急かすように会場に入る。
「シングルは午後からじゃ…」
「シングルは見ない」
「え？」
会場に入ると男女２人組がリンクの中心でスタンバイをしている。
ペアの試合だろうか。
音楽が始まり、男女は曲に乗って踊る。
「…アイスダンス」
息がぴったりの動き。
氷の上の社交ダンスだ。
ペアみたいなアクロバティックな技やジャンプが禁止なアイスダンス。
一見地味に見えるが、息の合った動き。
そして、演技で伝わる互いへの信頼。
美しさ、華麗さ、技術を競う舞台に私は釘付けになった。
「はあ…」
試合の後、会場を出てコーチと昼食を食べるが、頭の中は先ほどのアイスダンスの試合の余韻でいっぱいだった。
「なあA」
そんな私にコーチは話しかける。
「ジャンプができなくても、スケートはできる。
お前はリズム力も持ってるし、アイスダンスも向いてると思う。
さっきの試合を見てお前も魅了されただろう？
ジャンプは諦めなければいつかできる。
お前をスケートから離したくない」
私が飛べなくなってから何も言わなかったコーチ。
諦められてるのかと思ったけど…違った。
そう思うと涙が出てきた。
「やります…」
「お前がまた飛べるようになるまでお前のコーチができなくなるのが寂しいよ
待ってるぞ」
「はいっ…」
１４歳の秋の決断。
「…なんであの子泣いてるんだろ。まあ、関係ないか」
偶然アメリカに来ていたピチット１８歳。
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鈴(プロフ) - ノヤりんさん» ご指摘ありがとうございます！！すぐに名前が変わるようにしました。下書きの時点でたまにぼんやりしてたまにやらかしてたんですよ（Ｔ＿Ｔ）教えてもらって本当に助かりました。 (2017年1月1日 21時) (
レス) id: c94c726e60 (このIDを非表示/違反報告)
ノヤりん - 私の記入方法が悪いだけかもしれないので、もう一度ご確認頂けたら幸いです。それ以外の所は今のところ私が記入した夢主の名前でしたよ!!!(*´∀` これからも頑張って下さい。まだ読み始めの者ですみませんが、応援してます。 (2017年1月1日 3時) (レス) id: ecaeec78dd (このIDを非表示/違反報告)
ノヤりん - 私の気にしすぎな指摘かもしれないのですが… 傷3の話の回想ピチットくんのセリフ『勇利は鈴じゃないよ』となっていましたが、鈴とは夢主の名前を記入しないと出てくる名前ですかね？記入しているのですが、鈴になってしまいます。 (2017年1月1日 3時) (レス) id: ecaeec78dd (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 匿名さん» もう一度調べなおしたのですが、二重国籍の場合は２２歳でどちらか選ばないといけないんですね。もう一度調べる機会があって良かったです。最新の更新では夢主ちゃんまだ１８歳なので、国籍を選ぶ話も考えようと思います。ご指摘ありがとうございます。 (2016年12月31日 1時) (レス) id: c94c726e60 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 匿名さん» 国籍のことは自分なりに調べた結果、アメリカでは日本人でもアメリカで生まれれば、アメリカ国籍を取得でき、日本にも手続きをすれば日本国籍を取得できるとということだったので、設定で使ったのですが、まだ調べ足りなかったし、違っている部分があるなら、すいません (2016年12月31日 1時) (レス) id: c94c726e60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十五
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php
作成日時：2016年11月16日 23時
