【ユーリ!!!on ICE】マーメイドの太陽

アジアの幼馴染２ ページ28

「小さい頃は通訳のお父さん達いない時とか大変だったよね。

　身振りとかで伝わらないことが多かったし」

「よく泣かれてうるさかった」

「そんなに泣いてない！」


僕の質問をキッカケにAとスンギルの間で昔話に花が咲いてしまって僕は入りずらくなってしまった。

なので、会話を聞きながらＳＮＳをチェックする。あ、チェレスティーノ更新してる。


「今普通に会話できてるのが不思議」

「英語は覚えないと世界規模の大会で不便だからな」

僕に対してはちょっと冷たいけどスンギル相手だと全然そんな事ないんだな。

あ、これ面白い。いいね押しとこ。



「犬飼い始めたのもスンギルが飼ってて羨ましくてワガママ言って私の所も飼い始めたもんね」

「そっちの所元気？」

「うん。今年夏バテ気味だったけど今は元気だよ。スンギルの所は？」

「ん、元気」

「そっか」

愛犬の話をしてるのもあるけど今日のAはやけに優しいな。

あとでAに愛犬の話ふってみよ。

あ、ジョン達近くで食べてるんだ。



「お待たせしました」

そこへ注文した料理が運ばれてきて僕は料理が写るように自撮りをして、

それをＳＮＳにアップした。



「スンギル、もっと寄って」

Aは料理の皿を持ってスンギルと一緒に写真を撮っていた。



「もうちょっと笑ってよ」

「撮れたならいいだろ」


Aは…自撮りなんてほぼしない。

ＳＮＳの投稿だってあんまりしなくて自分が写った写真だって載せたりしない。

Aの写真は誰かに撮られたものばかりだ。

投稿も自分の愛犬とか、風景とか、物とか食べ物とかぐらいだ。

Aと仲が良いほうと思ってたけど、




僕はスンギルの所まで行ける日は来るのかな。






「スンギル、また明日ね」

「明日」

ご飯を食べた後、スンギルはコーチに呼ばれてすぐに帰ってしまった。

私とピチットは近くにいくつか屋台が出てるので少し遠回りをして帰ることにした。

だけど、隣を歩くピチットの元気がない。

ピチットは試合前にあまりナイーブになったりしない。

だから他に思い当たることがないわけではない。

スンギルとの久しぶりに会ってテンションが上がってしまってピチットの気持ちを考えてなかった。

後々考えればいつもの会話に率先して入ってくるピチットが入ってこなかったのだ。



「A、あれ食べてみない？」

そう言ったピチットの元気のない笑顔に罪悪感でいっぱいになった。

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