【ユーリ!!!on ICE】マーメイドの太陽

王子様 ページ22

時間が経つのは早いもので。１年が経った１２月。


忙しさに追われながら、私とジョンはそこそこ大きな大会には出られるようになってきた。

そして、シングルのほうでも小さな大会にしか出ていないが、なかなかのレベルに仕上がってきたとケビンが言っていた。


そして今私は自宅でジョンやピチットと共にテレビの前に集まっていた。

テレビ画面に映されているのはグランプリファイナルの会場。


「勇利！ファイト！」

「勇利大丈夫かな…」

「勇利メンタル弱いもんね」

私達が応援しているのは日本代表としてグランプリファイナルに出場している勇利だ。


「にしても、いいな〜グランプリファイナル」

「私達皆予選の大会で落ちたもんね」

「僕は来年こそ出るから！」

「私達だって！」

「そういえば、Aは来年出れたらシングルでグランプリシリーズ挑むの？」

ピチットの質問に私は「あ〜…」と言葉を濁した。


「まず出れるかわかんない。今シーズンの大会の成績とかで左右されるかもってケビンが…

　たとえ、出れるってなったとしても周りが強すぎるから怖いんだよね…」

「そっかー。もしも出る時は僕Aの応援バナー作っていくね！」

「嫌な予感しかしないからやめて」


そこへお母さんが「私も混ぜて」とコーヒーを持参してやってきたので、

私達はスペースを空けてそこにお母さんを招き入れた。

コーヒーを一口飲み、お母さんはグランプリファイナルの出場メンバーを眺めた。


「あ、Aの王子様いるよ」

そしてお母さんは一人の選手を指さしたのだ。



ヴィクトル・ニキフォロフ




「違う！」

私が否定するとお母さんは「えー」と不思議そうな顔をした。


「だってAがディズニーのプリンセスシリーズにハマってた頃、

　ヴィクトルのこと王子様って呼んで結婚するって言ってたじゃない」

「それって小さい頃の話じゃん！」

突然の暴露話に私の顔はみるみる熱を帯びてくる。


「その話気になる」

「お父さんの友達の子がスケートやってて、その子とその家族がアメリカに遊びに来てた時、

　丁度、ジュニアの大きい大会がアメリカでやっててに見に行ったのよ。

　確か、その時優勝したのがAの王子様で、帰ったらAもスケートやるって言いだしてね」


「へー！Aの歴史の一部だ」

「もう！」


それに今私は…

「A？」

「ピチットのバカ」

私はピチットを睨みつけると、テレビ画面に視線を戻した。

　
　

傷１→←忙しい日々の始まり

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す