【鬼灯の冷徹】子狐こんこん肆

子狐、子供達とお別れします。 ページ28

｢めめ、迎えに来たぞ〜｣

丁度変成庁の補佐官、焙烙斎も迎えに来た。



｢あ、お久しぶりです｣

｢おお。久しぶりじゃの。仲良くしとるか？｣

以前会った事のあるAは焙烙斎と挨拶を交わし、雑談をする。

そんな様子を眺めていた弟切と鬼灯は2人で話をしていた。


｢Aさんは案外良い母親になるかもしれませんね｣

｢子守りと子育ては別ですよ｣

｢ははは。またまた照れちゃって。

子供は良いですよ。全てがどうでも良くなる程愛しくて、力の源になります｣


焙烙斎が苺々子を起こした所で釣られて丙も寝ぼけながら｢あ…パパ…｣と弟切に気づいた。

｢さ、帰るぞ｣

弟切は丙をおんぶするとまだ夢うつつで背中に顔をうずめている。


｢Aさん、ありがとうございました。

お子さんが生まれたら是非うちの子を子守りに使って下さい｣


弟切の言葉にAは顔を真っ赤に染め上げ、

｢い、いや……こ、子供なんてまだそんな……｣

と顔から湯気を出しながら手を振って慌てる。

ふとムクリと起きた丙が寝ぼけ眼で



｢こんぜんこうしょう頑張ってね…｣



と言って再び眠り、

Aはその場で倒れた。


｢ち、違うんです！み、皆が勝手に……！｣

オロオロと焦るAに弟切は｢うちの子がすみません｣と申し訳なさそうに謝り、


｢どこでそんな言葉覚えたんだ…｣

と鬼灯は呟いた。


弟切達を見送り、鬼灯も眠っている座敷童子達を布団に連れて行こうと先に一子を抱えた。

｢あ！私も手伝います｣

とAが二子を抱えようとする。


｢結構重いですよ｣


鬼灯の言葉の通り、抱えると意外とずっしりとした重さにAからは｢うっ…｣と低い声が出た。

｢大丈夫ですか？｣

｢だ、大丈夫です……｣


頑張って運ぼうとするAに鬼灯はもう少し様子を見て手伝うかと思いつつ、歩き出す。

そんな様子を足を止めて見ていた弟切は


｢まるで家族みたいだ｣


と笑って自分も他の子供達が待つ家へと向かって歩を進めたのであった。






✱おまけ✱


ようやく座敷童子達を布団に運び終え、

Aは慣れない作業に腰を叩いた。


｢にしても、弟切さんって素敵な方ですよね。

色々な女の人が思わず見惚れちゃう気持ちがわかります｣

雑談のつもりで話しかけたAを鬼灯は座敷童子達の横で無理矢理寝かせ、

｢ねーんねんころりーよ｣

と低い声と怖い顔で寝かせつけようとする。


｢え…急になんですか｣

｢眠って忘れなさい｣

｢何故？！｣

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