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見てくれていたのか、見ていても伝わっているのかわからない。
でもきっとAなら、ずっと俺を見てきてくれたAなら、不特定多数のみんなじゃなくて、自分に向けられたものだって気付いてくれるんじゃないかって思ったんだ。
収録を終えてマンションに帰ってくると、エントランスに1組の姿があった。
……A?
佐「あ、渉」
渉「……佐々木?」
佐「久しぶり。A、渉帰ってきたから俺帰るよ?」
あ「…」
佐々木の横に座り込んでいるAは、佐々木にそう声をかけられて、まるで引き止めるかのように佐々木の腕を掴んだ。
なんでこの時間に帰って来てるのか、なんでこんなとこにいるのかわからないでいると再び佐々木が口を開いた。
佐「今日一緒に墓参りして、Aんちでテレビ見ながらメシ食ってたの。でさ、おばさんと3人で渉たち見たよ」
渉「え?」
佐「そしたら見終わってソッコー帰るとか言い出してさ。まぁ俺は元々帰ってくる予定だったし、乗せて来たんだけど……渉に鍵渡してるから入れないってここ来て言い出してさ」
渉「鍵?あ、あぁ預かってるわ」
佐「スペア持ってろよだよなw渉とすれ違ってたらずっと家入れないじゃんw
A、ほら離して。渉に会いたかったんでしょ?俺もね待ってるから帰らないと」
あ「……そうだね、帰らないとだよね。付き合ってくれてありがとう」
ゆっくり立ち上がったAはまだ俺を見ない。
佐々木に促され掴んでいた手を離す。
じゃあなって言われたAの様子は、なんだか少し名残惜しそうに見えた。
佐「じゃ、渉またな。またゆっくり飲みにでも行こうぜ。お前が良ければだけどw」
渉「あぁ、気が向いたらな」
帰って行く佐々木の後ろ姿を見送りながら、「今までありがとう」ってAが呟いた。
渉「A…行こう」
そっとAの手を取り、部屋へと向かう。
その間もAは俺を見なくて、口も開かなくて、ただただ2人の足音だけが響いていた。
だけど、Aの部屋を開けた時、引きずり込まれるように部屋に引っ張られた。
渉「A?なに?」
あ「…なに?じゃないよ……呼んだの渉くんでしょ?」
渉「え?」
あ「私のこと呼んでたッ」
振り返り、思い切り抱き着いてきたAに驚きながら、やっぱり伝わってたんだって胸が熱くなった。
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みなみ(プロフ) - ユカ子さん» コメント、ご指摘ありがとうございます。私個人としては「w」で統一してるので、今のところ変えるつもりはありません。ご理解頂けると嬉しいです。今後の参考にさせて頂きます。 (2015年11月28日 16時) (レス) id: ea6eeab55c (このIDを非表示/違反報告)
ユカ子(プロフ) - wより(笑)のほうがいいと思います。 (2015年11月28日 16時) (レス) id: 974d9893bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みなみ | 作成日時:2015年11月11日 17時