迷子の迷子の

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クリスマスイブ、今日はイベントの日。



Aは仕事のあと佐々木と会うんだよな……







太「わた、顔治って良かったな」

渉「あぁ…誤魔化せるくらいだったから問題なかったけどね」

太「あれから会ってないんでしょ？」

渉「…会ってない」






あれから…

Aとひとつになってから数日後の月曜日。




いつもなら番組の感想LINEしてくるのに、その日はなかった。



観てないのかな？なんて思って、Aの家に寄ってみたら、普通に家にいた。

でも、すっげぇ機嫌が悪い。






あ「…悪いけど今日は寄らずに帰って」

渉「は？何かあった？」

あ「何かあった？じゃないし。今顔見たくない。それだけ」

渉「ちょ、意味わかんねぇんだけど」

あ「…いいから帰って」





ドアを締めようとするAの腕を掴んだら、勢いよく平手打ちされた。





渉「ってぇ…おまえ、なんなの？俺が何したって言うわけ？」

あ「キスした」

渉「あ？」

あ「今日の！渉くんキスしてた！綺麗にプリントアウトしてやったんだから！見る！？」

渉「え？今日の何だったっけ？」

あ「帰れ…帰れ！帰れ！」





涙目になりながら、帰れと騒ぎ、そのまま部屋の中に入って行ったから慌てて追いかける。





部屋に散らばる何枚もの証拠画像。



さすがプロですね…

それはそれは鮮明に引き伸ばされているわけで…






渉「A」

あ「入ってこないでよ」

渉「俺、言ったよね？これ、全部Aのこと考えてやってるって」

あ「…」

渉「ついついテンション上がっちゃったんだよ」

あ「お台場は渉くんをキス魔にするね」

渉「ぅん？」

あ「前にもあった。私、あんなの嬉しくない」

渉「そう言うなよ」






Aの機嫌は全然直ってくれなくて、近付いて触れれば叩かれる。







渉「あのなぁ、いちいちこんなことで不機嫌になんのやめてくんない？太輔や裕太の彼女だったら、しょっちゅう怒ってるわけ？」

あ「そういう事じゃない」

渉「ったく、なんだよ…」





そんな俺に、ついにはみかんやらりんごやらが飛んでくる。



いい加減俺も腹が立ったから、腕掴んで立たせようとしたのに、振り払われて次々にその辺のものを投げつけて来て、俺を近付けようとしない。





渉「いてｯ」





投げ付けられた写真が顔を掠めて、ピリッとした感覚がした。




あ「あ…ご、ごめ」

渉「帰るわ」





切れた頬を押さえて家を後にしてから、Aには会えていなかった。

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