14 ページ14
俺をじっと見つめてくる。
抱き上げていたわっくんを静かに降ろして、Aの向かいに腰を下ろした。
渉「俺、あの頃からずっとAが好きだよ。こうやってまたAと会って、忘れられずにさ迷ってた気持ちが蘇ったんだ。Aは?こいつに俺の名前つけたり、こんな部屋作ったり、俺のことどう思ってるの?」
俺を捉えていた瞳が、涙をたくさん流しながら小刻みに揺れる。
そっと腕を伸ばして震える肩に触れると、ビクッと体が強ばった。
渉「A…」
あ「…だめ」
渉「A?」
あ「離して…私と渉くんの距離はこの距離じゃない。私と渉くんの距離はこっち」
Aは部屋に飾られたアイドルの俺の姿をじっと眺めた。
渉「そんなの俺聞き入れないよ?やっとまた会えたAを手放したくないよ。俺の仕事とか立場とかそう言うの無視して、Aは俺をどう思ってるの?」
あ「…言わない」
渉「言って」
あ「言わない!」
渉「言えって!じゃなきゃ、おまえまた俺の前からいなくなるだろ!?」
あ「言わせないで!私はこの距離でいい。渉くんとはこっちの距離でいいの!」
渉「俺が良くない」
Aの腕を引っ張って、俺の腕の中に閉じ込めると、離して離してとぽかぽか殴ってくるけど効きっこない。
渉「A、好きじゃないならそれで構わないから言って。応えをもらえず、またおまえをなくすのは嫌だから。おまえの本心聞かせてくれよ」
あ「わた…るくん…」
渉「好き。好きだよA」
抱き締める腕に力を込めると、静かにAが動いて俺に腕を回してくれた。
あ「…すき…渉くんが好き。渉くんが好きで、テレビは全部チェックしてたし、コンサートだって行ったよ。いつも中に入れないで帰って来てたけど。でも、その好きがどういう好きか、わかんなくなってた」
渉「うん」
あ「わかんなくなってたのに、渉くんに会ったらわかっちゃったよ」
渉「言って」
あ「渉くんが大好き…渉くんに会ってからこの部屋の渉くんの笑顔を見るのが苦しかった。でも好きだから離れられなかった」
渉「なんで苦しいの?」
あ「私の知らない笑顔だから。たくさんの不特定多数の人たちに向けられたものだから」
ぎゅっと俺の服を掴む腕に力が入ったAの体をさらに強く抱き締めた。
178人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みなみ(プロフ) - ユカ子さん» コメント、ご指摘ありがとうございます。私個人としては「w」で統一してるので、今のところ変えるつもりはありません。ご理解頂けると嬉しいです。今後の参考にさせて頂きます。 (2015年11月28日 16時) (レス) id: ea6eeab55c (このIDを非表示/違反報告)
ユカ子(プロフ) - wより(笑)のほうがいいと思います。 (2015年11月28日 16時) (レス) id: 974d9893bf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みなみ | 作成日時:2015年11月11日 17時