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あ「私…渉くんに好きって言ってもらえて嬉しかったんだ」
決心したようにAがゆっくり話し出した。
あ「でも、あの時は渉くんの気持ちに応える権利は私にはなかった」
渉「なにそれ?」
あ「…大好きだったよ、渉くんのこと。だけど、あの時私…」
涙溜め、唇を噛み締めながら、Aは一生懸命言葉を繋ごうとしている。
渉「A?」
あ「…赤ちゃんいたの」
渉「え?」
あ「あの時、私妊娠しちゃってて、それで、親にバレてお父さんとお母さんはケンカして離婚。私は学校退学になってお母さんの田舎に引っ越したの」
渉「は?妊娠…?離婚?」
あ「…こんなこと、渉くんには言えなかった」
渉「え、相手は?赤ちゃんは?」
あ「…相手は佐々木くん。赤ちゃんは堕ろしたよ。佐々木くんちのご両親がお金どかって置いてった」
渉「佐々木?あいつと付き合ってたの?」
あ「渉くんが好きだったのに、佐々木くんと付き合うわけないじゃん。渉くんもいるからって佐々木くんちに呼ばれて行ったら…無理矢理そう言うことになっちゃった」
渉「…」
あ「引いたでしょ?そんなことがあっても、私も佐々木くんも学校じゃ普通にしてたし」
渉「ごめん。なんて言ったらいいか…」
あ「もう10年以上前の話だから…渉くん、今日はもう帰るね。こんな話でごめんなさい」
そう言ってAは立ち上がると、早足でリビングを出て行った。
あいつはこれからどうするの?
家に帰ってひとりで泣くの?
そう思ったらいたたまれなくて、Aの後を追い掛けた。
Aは鍵を締めてなくて、まるで俺が追い掛けて来るのを待っているかのように、部屋の扉を少し開け、中の光を漏らしていた。
そっと近付いて中を覗いてみたら、オレンジに彩られた部屋の中にたくさんの俺がいた。
あ「私、渉くんに会えて凄い嬉しかった。ずっとずっと渉くんに会いたかったから。でも、どんな顔して会えばいいのか、どんな話をしたらいいのかちっともわからなくて…」
泣きながら話すAの背中をじっと見つめていると、足元にわっくんが擦り寄って来た。
静かに抱き上げ呟いた。
渉「ずっと気になってる人に似てるからわっくん…」
あ「え?」
渉「病院の受付の人に聞いた。わっくんって俺のことでしょ?」
あ「あの…」
渉「何も気付いてやれなくてごめん。A、もう一回いいかな?」
話し始めてからやっと目が合った。
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みなみ(プロフ) - ユカ子さん» コメント、ご指摘ありがとうございます。私個人としては「w」で統一してるので、今のところ変えるつもりはありません。ご理解頂けると嬉しいです。今後の参考にさせて頂きます。 (2015年11月28日 16時) (レス) id: ea6eeab55c (このIDを非表示/違反報告)
ユカ子(プロフ) - wより(笑)のほうがいいと思います。 (2015年11月28日 16時) (レス) id: 974d9893bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みなみ | 作成日時:2015年11月11日 17時