検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:746 hit

プロローグ ページ1

*





_満月、まだ冬の寒さが残る夜。



「くっそ、ジジィ。ちぃっと金が足んねぇくらいで追い出しやがってよぉ。もう二度とあの店行かねぇわ」



カンカン、と階段をうるさく鳴らしながら坂田銀時は愚痴をこぼす。

下の階のスナックお登勢からは下手な歌謡曲が流れていた。



「んァ?」



銀時は足を止めた。

目に入ったのは"万事屋銀ちゃん"の前に寄りかかる、ひとりの女。

へべれけの銀時は、月に照らされて生白く光る女の脚を見る。



「なァに、姉ちゃん。銀さんになんか用ですか。まさか、出待ちってやつ?俺ってば罪なお…と、



え、お前…」



透き通った黒髪、鮮やかな紫眼、通った鼻筋と淡く色づいた艶っぽい唇。

銀時はそれに見覚えがあった。

女は目線を満月から銀時へ移し、人懐っこい笑みを浮かべた。



「こんばんは、万事屋さん」

「な、なんでこんな所にいんだよ!

…A」



Aは少し目を見開いて安心したように微笑んだ。



「覚えてて、くれたんだ。私のこと。…嬉しい」



その表情を見てか、銀時は眉間にしわ寄せ、唇を噛み締めてAをキツく抱きしめた。



「…悪かった。本当に。もう俺はお前の名を呼べねぇと思ってた…A、あぁ。A」

「謝らないでよ、銀時。あぁ、本当に銀時なんだね…」



スナックお登勢からも灯りが消え、月光だけが静かに二人を照らしていた。





*

1.→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (2 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2人がお気に入り
設定タグ:アニメ , 銀魂 , 坂田銀時   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ミト | 作成日時:2017年9月17日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。