禁戒なんて知らない (ページ22)

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「……あれは」

私の中で、何かが揺れた。

それを必死に押し殺す……

「ただの学校の先生」

智くんは、

笑った。

『恋人かと思ったあ。そっかそっか』

私は、何も言えなくなった。

自分でもはっきり理由はわからない。

「なんで笑ってるのっ」

私も笑って返した。

智くんは、パタリと笑うのをやめて、
私を真っ直ぐに見た。

それから3秒くらい、二人の時間が止まった

少し首を傾げて、口を開いた。

『……悲しい？』

低いのに甘ったるい声。

……何この人

自分でもあやふやにしたこの感情を

なんで……

「私今そんな顔した？よく誤解されるんだよね、目が笑ってないとか言われて」

『顔が泣いてるよ』

優しい顔。

『泣きゃいいんだよ』

智くんは、笑いながら私の頬を撫でた。

都合のいい人。

櫻井先生と、

変わんないね。