【3104 Birthday Box】 1126 BD 2015 (ページ16)

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《半径1m 酸素欠乏注意》松本の場合 1 ページ16

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初めて合ったのは、ドラマの顔合わせの時だったと思う。

テレビという媒体に出始めて1年も経たない、まだ新人俳優の域を出ない俺は

大御所やベテランが集う中で、自分の居場所さえ心許無く、その焦燥を必死に腹の底に押し隠していた。

けれどもそんな中で、彼は酷く落ち着いて溶け込んでいた。

その頃はまだ芸能界に疎かった俺だったけれども、彼の名前は知っていた。

大野智。

　
アクションもこなせる演技派の若手俳優。

若いがキャリアは俺より遥かに長く、ドラマをいくつかこなした程度の俺とは、認知度も人気も天と地程の差だった。

普段はおっとりフワフワとした雰囲気で、いるのかいないのかわからないくせに

ひとたび役に入ると、目が恐ろしく奇麗で、そこだけ光りが当たってるような。

いや、光りを発しているのか。

スターの輝きを放つ人。

初めての印象はそんな感じだった。

撮影は忙しく、あまり話す機会も無かった。

それでも年が近い気安さで話し掛ければ、彼は見かけは無邪気な風に見えるが、話す姿は随分と物静かで内容もどこかしら幼く子供っぽく感じた。

時々、スタジオをふざけてまわっては同じ年代の俳優に馬鹿話を振る俺とは、話題がビミョーに噛み合わない時もあった。

とにかくその時は、同じ俳優であってもどこか違う場所に居るような

…そんな距離感を感じて、共演という間柄以上にはならなかった。

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それから10年以上経って、突然舞い込んだハリウッドの仕事。

日本を題材にした内容の作品だから、多くの日本人を使う事となり、自分もオーディションを受けて、合格した。

日本から遥か遠いニュージーランドで彼と仕事を共にする事になろうとは、あの頃は想像もしなかった。

だが、今ほぼ日本の真裏で彼が隣りで笑っている。

不思議な運命を感じた。

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