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壱
伊東さんが亡くなって1ヶ月たったころ、私は伊東さんの御墓参りに来ていた
伊東さんが亡くなる前、
「君のような優秀な人間はもっと上に行くべきであろう。女だろうと関係ない。」
そんな一言をかけてもらったことがある
これが本音だったのかはわからない
伊東さんとは一緒にいた期間こそ長くはなかったが、もともと江戸で情報屋として働いていた私を真選組に入隊させてくれた恩があった
男所帯の真選組で女の私が受け入れてもらうことは簡単なことではない
入隊の際も伊東さんの説得のおかげで認めてもらうことができた
情報屋としての実力を唯一認めてくれた人で、そのおかげで伊東さんの専属の小姓にまでしてもらった
真選組に馴染めないながらも仕事を任してくれた伊東さんに恩を感じていたが、ある日から伊東さんの様子が変わった
今考えてみれば、その頃から近藤さんの暗殺を企てていたんだろう
私に仕事を小姓としての仕事はふってこず、近藤さんや沖田隊長の仕事を手伝えと言われることが増えていた
この頃から伊東さんと2人でなにかを話すことがなくなり、ふとみせる表情の違いなど小さい変化に気づきながらも追求することをしなかった
近藤さんが暗殺される計画実行日、その日が伊東さんと最後に話した日で、私は屯所で待機になっていた
朝のお見送りの時にかけてもらったのがこの言葉なのである
「君のような優秀な人間はもっと上に行くべきであろう。女だろうと関係ない。」
この言葉が伊東さんに最後にもらった言葉で、これが自分が上を目指した上での言葉だったのか、実はどこかで後悔が混じっていたのか、もうわからない
ただ専属の小姓として、気づいてちゃんと伊東さんと向き合っていたらなにか違ったんじゃないか、止めることができたんじゃないか、そう思えて仕方なかった
亡くなって1ヶ月たっても尚、その気持ちが消えない
この罪悪感を背負って生きていくことが伊東さんに対する恩返しだと考えていた
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3103(プロフ) - あぴさん» はじめまして、コメント有難うございます。読んでいただいただけでも嬉しいのにコメントまで有難うございます。期待に添えられるように頑張りますのでよろしくお願い致します。あぴ様もこんな時期ですのでお身体お気をつけ下さい。 (2020年4月9日 21時) (レス) id: 1633cb0dd9 (このIDを非表示/違反報告)
あぴ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。文章の書きた方がとても好きでお気に入り登録させていただきました。夢主ちゃんの性格、設定もかなり好みで、これからの展開が楽しみです!体調等お気をつけて、作者様のペースで更新頑張って下さい。陰ながら応援しています。 (2020年4月9日 21時) (レス) id: 672d662638 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:3103 | 作成日時:2019年9月20日 0時