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昔の記憶 二 ページ24

A目線


悲鳴と銃声を聞きつけた母と姉が今から顔を覗かせた。

倒れて動かない父を見て目を見開いた母が

父の名を叫んだ。

それと同時に父の前に立つその人を見た瞬間

「____森鴎外...!!!」

と睨みつけた。

「久しぶりだねェ、元気だったかい?

...私達の元から逃げて13年、幸せだったかい?

嗚呼言わなくても構わないよ、見れば分かるさ、

こんな綺麗な子がいたらね」

そう言って腰が抜けてしまった僕に向かって

伸ばされた手を振り払う様に僕を抱き

走って居間に逃げる母。

母が姉に向かい「裏から逃げなさい、振り返っちゃ

駄目」と言うと頷いた姉は僕を抱き上げると

裏の戸に向かって走った。

姉が扉に手をかけた瞬間、また『バンッ』と音が

何度か鳴ったと思うと姉が体勢を崩しその場に倒れた。

抱えられていた僕は姉の下敷きになった。

「姉さん、早く逃げなきゃ殺される」

そういおうと起き上がると、僕の服にはべったりと

血が付いており姉を見ると背中の三ヶ所から

血が流れていた。

絶句し、ただただ何度も姉を揺さぶっていると

母がこちらを見て姉の名を呼んだ。

「ッあの子は関係ない!! 何故撃った!?」

「確か上は十二歳、下は九歳だろう?

警察に行かれたら面倒だからねェ...

君達が此方を裏切り逃げなければこんなことには

ならなかっただろうに。十三年間も見逃しておいた

んだ、寧ろ感謝されてもいいと思うのだが...」

動かなくなった姉の元を離れて母の背中に抱きつく。

『早く逃げろ』とでも言う様な顔で一瞬こちらを

みた母だったが、”背中を向けたら殺される”と

悟った様で何も言わずに僕をかばう様に手を広げた。


「..お願い、この子だけは見逃して。

...私の命と引き換えに」


そう言った母に「お母さん、何で」と言おうと

したが恐怖で声が出なかった。

「ほお、あんなに冷たかった君も母になれば

変わるものだね。...良いだろう。」

森鴎外、とよばれたその人が言うと安堵した

かのように広げられていた手が少し下に降りた。

だが「但し」と言われた瞬間、また母の顔が

強張った。

その瞬間、その人の後ろにいた黒服の人が僕に

近づいてきて腕を掴まれ抵抗する前にその人の足元

に立たされた。

そしてその人は後ろにいた人から渡された拳銃を

受け取ると僕に持たせた。


「___君を殺すのは彼だ」


そう言われた瞬間、頭が真っ白になった。

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ししゃも(プロフ) - 続きめっちゃ気になります!更新待ってます! (2022年8月1日 18時) (レス) @page28 id: 4d9c9f1a17 (このIDを非表示/違反報告)
科学(プロフ) - こちら新しいアカウントです。よろしくお願いします。 (2018年2月28日 21時) (レス) id: 3cbc0a3d50 (このIDを非表示/違反報告)
科学(プロフ) - 詩猫さん» コメントありがとうございます! が、頑張って更新します....!!!!! (2017年12月22日 19時) (レス) id: 94cd103a57 (このIDを非表示/違反報告)
詩猫 - 面白いです!続きが気になってうずうずしてます笑。 (2017年12月22日 19時) (レス) id: a5e208826f (このIDを非表示/違反報告)
科学(プロフ) - るきさん» わわ、ありがとうございます...!!頑張ります! (2017年8月22日 0時) (レス) id: 94cd103a57 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:科学 | 作成日時:2017年3月14日 17時

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