トリセツ六 ページ7
夢主side
音駒は全てのセットをとった。
翔陽が「もう一回」と何度も言っていたのでもう皆ヘトヘトだった。
「研磨大丈夫？」
体育館の隅でうずくまっている研磨に聞くと、横に首を振られた。
「相変わらず体力がない…」
黒尾「そりゃあお前の方が体力あるわな」
いつの間にか鉄郎が後ろに立ってた。
「鉄郎が私のことしごくから…」
黒尾「え、何、その物言い。ちょーエロいんだけど」
…そんなつもりで言ったんじゃないわよ。
鉄郎がニヤニヤしながら私を見る。ムカついたから渾身の一発を腹にお見舞いした。ドスッと音はしたものの鉄郎のニヤニヤは収まらない。
黒尾「おおっと、Aちゃんのパンチはまだまだですなぁ」
「…じゃあもっと強くなる」
黒尾「いや、強くなってどーすんの」
「鉄郎を倒す」
黒尾「いやいや何で俺。俺、倒される筋合いない」
「鉄郎を倒せるくらい強くなって研磨を守る」
黒尾「あーそういうこと。ってかお前、小中学生ん時も同じ事言ってたぞ」
「…そうだっけ」
黒尾「そう。昔っから、研磨いじめてくるガキ共まとめて相手してたじゃん。そのたんびに青アザ作って帰ってきて、おばさんに「たまにはオンナノコらしくしなさい」って怒られてさ」
「……お姉ちゃんが弟守るのは普通」
黒尾「そーかい？でもオンナノコはそんなことしなくていーの」
「何それ、意味分かんない」
黒尾「ま、俺はおばさんじゃないし？お前がしたいようにすればいーよ」
「いーの？」
黒尾「いーよ。そんでお前が危ない時は、お前より強い俺が守ってやる」
「…っな、何それ…意味分かんない…」
黒尾「頑張れよ、オネーチャン」
鉄郎はそう言っていつもの笑みを浮かべて、ぐしゃぐしゃと私の頭を撫でた。
あー、そういうところがカッコいいです。そういうところが好きなんです。
私、絶対、顔が赤い。
「…片付けなきゃ」
黒尾「おう。お疲れさん」
「鉄郎も、お疲れ」
なるべく顔を見ないようにしてドリンクをまとめて外に出た。
そうやって幼なじみの壁を越えようとしてくるの、やめてほしいわ。「守ってやる」だなんて、そう簡単に言うもんじゃない。
私は足早に水道に向かった。
清水「Aちゃん、そっちはトイレ！」
「あれ、こっちだっけ」
清水「ああっそっちは掃除用具室！」
「うそ」
清水「嘘じゃない！」
夜久「烏野のマネちゃんマジすまねぇ」
黒尾「それな」
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作者名：Kyaaaa | 作成日時：2019年2月17日 14時
