孤爪姉のトリセツ【黒尾鉄郎】 (ページ11)

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トリセツ十ページ11

黒尾side

「Aちゃーん？カレーできましたよー？」

台所から声をかけてみるが、返事はない。まだ、いじけてんのか？

俺は苦笑いしてリビングに向かった。

「おーい？」

ガチャリとドアを開けると、ソファに寝そべっていたA。しかもご丁寧に猫柄のシーツを被っている。

雑談だがこのシーツは俺がAの誕生日に買ってやったヤツだ。ちなみに大きなネコ耳と猫の手がついており、被ると猫の着ぐるみになるというオプション付きだ。

「A、お腹空いたろ？」

A「…空いた」

「おいで。リビング行こーぜ」

A「……」

寝そべるAは何も言わなくなった。俺はソファに座って、シーツの上からAの頭を撫でた。

「…Aは俺が嫌いなの？」

シーツごとAの頭が左右に動く。

「じゃあ好き？」

動かなくなった。

「俺は好きだよ。大好き」

A「っ……そーゆーの…恋人とか、お嫁さんとかに言った方がいい」

「へぇ…いいのぉ？他のオンナノコに言っても」

A「！……だ」

「んー？なぁに？」

A「むぅぅ…！」

意地悪しすぎたかな。

その時、Aがガバッ！と勢いよく起き上がった。そしてシーツを被ったまま俺に向かって、

A「やだ！！！」

そう叫んだ。
上から下まで猫の格好なので、表情は分からないが、きっと真っ赤になってるのだろう。付いている猫の手も一生懸命動かし、Aは訴えてる。

「やなの？」

A「やだ…鉄郎は他のオンナノコがいいの…？」

「っはは！バーカ、冗談だっつーの！ほれ、ご飯食べに行こーぜ！」

A「ん…抱っこ」

「はいよー」

猫のAを抱えて台所に向かう。カレーあっため直さなきゃなー。
Aは本物の猫みたいに擦り寄ってくる。

あーーー、ほんっっとに可愛い。俺の可愛い可愛い幼なじみ。大好き。でも、

「Aー、すきだぞー」

A「…私もすき」

きっと、俺とコイツの好きの種類は違うんだろうなぁ…やべ、自分で言っててちょっぴり悲しくなってきた。