孤爪姉のトリセツ【黒尾鉄郎】 (ページ33)

今日:16 hit、昨日:10 hit、合計:303,106 hit

トリセツ番外編ページ33

黒尾side

『あれ？Aは？』

帰りの時間になってもAが玄関に来ない。
隣の研磨に聞くと、

研磨『なんか、今日は友達と遊ぶって』

『ふーん、じゃあ俺らもかえろーぜ。
今日研磨んち行っていーい？』

研磨『いーよ』

そして俺らは何も知らずにノコノコと帰った。

あれから数時間後たった。

『そろそろアイツ帰ってくるかー』

研磨『じゃない？』

研磨の部屋で他愛もない話をしてると、玄関が開き、ぱたぱたと歩く音がした。

たぶんAが帰ってきて、おばさんが出迎えに行ってる。

Aが部屋に来るのを待ってたとき、

『A！』と、おばさんが叫ぶ声が聞こえてきた。

『『！！』』

俺らは慌てて玄関に行くと、そこにはボロボロのAがいた。

これはまさか…

研磨『も、もしかして、俺のこといじめてた人達と…？』

孤爪母『！また喧嘩したの！？』

やっぱり。また研磨をいじめた奴らと喧嘩したんだ。
見ると青アザがたくさんあり、所々擦り剥けて血が出てる。綺麗な黒髪はボサボサだった。

孤爪母『喧嘩はやめなさいって言ったじゃないの！』

『…』

研磨『や、やめてって言ったのに…』

『私がやりたくてやったの。ほっといて』

Aがイライラしたように靴を脱ぎ捨て、ランドセルを俺に押し付けた。

孤爪母『ちょ、ちょっとA！待ちなさい！何処行くの！』

『おふろ！』

振り返りもしないでAはおばさんに強く答え、浴室のドアを勢いよく閉めた。

その態度にため息をついたおばさん。

孤爪母『ごめんね、2人とも』

『お、俺らは別に…それよりAが…』

研磨『…ごめん母さん』

孤爪母『研磨は悪くないでしょ』

不安げな俺らを見て、おばさんが頭を撫でながら微笑んだ。

『あんな子だから、これからも迷惑かけるだろうけど…
貴方たちだけは、ずっと傍にいてあげてね、お願い』と、

そう言った。

安心して、おばさん。

その言葉、俺は6年たった今も忘れたことはない。それに、

「どーしたの鉄郎」

「んーや？Aのこと好きだなーって」

「私も鉄郎のこと好きだよ」

「ほんとー？？じゃーその証拠にダーリンに熱いキッッs((夜久「今、試合のタイムアウトなの知ってる黒尾くん？？」……」

研磨「クロ、バカなの」

ずっと、死ぬまで、Aの隣で面倒みなきゃいけないってAの取扱説明書に書いてるから。