Stop 20 ページ20
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彼が向いている反対側の景色を見るためには、もう少し背と、こういうことに対しての免疫が必要みたい。
一瞬だけ、世界から一人だけ放り出されたみたいな静寂があった。
その時僅かに聞こえた、離れていく足音は誰のだろう。
「 …いきなりごめんねAちん 」
ごめんね、と謝られてもどんな意図で抱きしめたのか分からないから、なんて返せばいいのかわからない。
恥ずかしくて、頭が爆発しそうで、顔が上げられない。
「 …Aちん、怒ってんの?
…ごめんって言って… 」
紫原くんはとことん面倒事が嫌い。
私の感情で紫原くんを怒らせるなんて、おこがましい。
紫原くんとあった目は離せなくて、自分でも分かるくらい顔が火照っている。
…益々不細工に見えていたらどうしよう。
「 ……ぁ…えっと…紫原くん 」
「 …Aちん、ちょっと来て 」
強引に腕を引かれ、屋上へ続く階段へかけた。
途中で落としたパンは、ぐちゃぐちゃになっているに違いない。
…私が怒らせた。…でも紫原くんの怒りを受け止めない選択肢はない。
扉を開けたら屋上。というとこでやっと足は止まり、代わりに壁に押し付けられた。
…よくあるシチュエーションだ。
見えない所での暴力。ううん、私は紫原くんを悪い人なんて思わない。
「 目、つぶってた方がいいよ 」
紫原くんの優しさは素直に受け取ろう。
そう思いながら、目を閉じた。
頬に拳が入るかわりに、
私の唇に、優しすぎる温もりが重なった。
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琉李(プロフ) - さややんさん» コメントありがとうございます!やっぱりIHとWCの表現分かりにくいですよね(・_・; ご指摘ありがとうございます! (2018年6月25日 22時) (レス) id: b336a701b4 (このIDを非表示/違反報告)
さややん - ところで9話でインターハイとウィンターカップがごちゃ混ぜになってますよ! (2018年6月25日 19時) (レス) id: b8dd9b5a7f (このIDを非表示/違反報告)
さややん - 私もむっくん大好きなんですよ!かっこいいよすぎですよ〜〜! (2018年6月25日 19時) (レス) id: b8dd9b5a7f (このIDを非表示/違反報告)
琉李(プロフ) - hさん» コメントありがとうございます!励みになりした♪更新も頑張っていくので、これからもよろしくお願いします! (2018年3月25日 9時) (レス) id: b336a701b4 (このIDを非表示/違反報告)
h - 初コメです凄く楽しかったですこれからもゆっくりと更新頑張ってください (2018年3月25日 5時) (レス) id: 8a1cd5ab5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:琉李 | 作成日時:2018年2月28日 22時